April 03, 2011

東日本大震災発生から3週間、今思うこと、やるべきこと

March 11 Earthquake in Japan(クリックすると動画へジャンプ)



東日本大震災は突然に、3月11日午後2時46分発生した。冒頭にアップロードした動画は、5分以上続いた長い本震が収まってから、お台場方面の黒い煙が大量に発生した火事(後に、海上保安庁の建設中新ビル屋上の火災と判明)を代官山にある会社ビル屋上から確認しに行った時に、大きな余震が生じた様子。12階建てビル屋上が大きく揺れ動き、相当な重さの鉄製テーブルが動かされる様子が偶然にも収められた。ビル内の一部の部屋では多くのモノが落下、破損したが、幸いビル内外装には大きな損傷は無く、怪我をした人もいなかった。同日は都内の電車も全く動かなかったので、会社近くの学校に通う長女とともに2時間以上かけての徒歩の帰宅となったが、幹線道路は激しい渋滞で、裏道をずっと歩いて帰った方が、自動車よりむしろ早かった様だ、と後で知った。遠方に住む同僚は、遅くに動き出したわずかな路線や自転車の購入等で相当苦労して帰宅、落ち着かない一夜を会社オフィスのソファーや都心の避難所で送った知人も多数。それからもう、3週間以上が経過しようとしている。



March 11 Earthquake in Japan



地震発生後の津波、福島第一原子力発電所の被災による火災、水蒸気爆発、周辺環境への放射性物質の漏洩、とその後被災地では絶え間ない変化が続く中で、東京に住む我々も「今だからすべき事」を、具体的なアクションとして出来る事から進めていかねばならない。募金、必要物資の寄付等を手始めに、必要とされる支援を、被災地の具体ニーズに応じて柔軟に提供して行かねばならないし、その為に必要な情報を、適切かつ適時に供給可能な草の根ニュースインフラに提供し、広げる事も重要と考えている。一方でこういう時期なので、情報は様々な立場のものが錯綜し、それにより情報の受け手側の行動にも大きな影響がある。



発電所の放射性物質漏洩に関する情報も、国内・海外の情報がそれぞれの立場のオピニオンを背景に錯綜する為、受けて側も良い情報、悪い情報、それぞれに耳を傾けながら、現在起こっている状況を複合的に理解する必要がある。大切な事は、情報源に関しては国内、海外を問わず多数のソースにリーチ出来、実際に起こっている事、それに関する数値的情報が適時公開される事だろう。マスメディアからの包括的、選択的な情報提供にプラスして、フラットでオープンなインターネットのインフラの上に、政治家、企業、専門家から一般市民に至る様々なレイヤーで多くの被災地情報提供、支援の為の議論が展開される事が重要で、根拠の薄い情報や恣意性が高い情報には十分気をつけつつも、他方で「不安を煽るかもしれない」という理由の下に公開すべきデータに透明性が与えられず、適時公開されない、という事態だけは避けられねばならない。



March 11 Earthquake in Japan



物理的な通信インフラの脆弱性は、今回の震災ではっきりと示された。被災地から離れた東京でも、地震発生直後から電話、携帯電話ともに殆ど繋がらなくなり、SMS や携帯メールも届かず、当方自身も、地震後家族とやりとりが出来たのはインターネットのメールやソーシャルネットワークを通じて、数時間過ぎてからであった。某大手企業勤務の友人からは、セキュリティ専門企業が提供する災害安否確認サービスが、震災後一番最初にダウンして使い物にならなくなった、という驚くべき話も聞いた。現在、インターネットのメールやソーシャルネットワークは、我々の業界では当たり前の様に皆が使っているが、今後はより多くのユーザーが難しい手続き無しに緊急時のネットインフラを使える仕組みも必要となるだろう。地震発生後しばらくして、子供を学校に引き取りに行く為に恵比寿駅を通り過ぎた際に、当時携帯電話よりは通じる頻度が高かった公衆電話ボックス前に、長い行列が出来ていた。公衆電話は携帯電話の発展に従いかなり数が少なくなっているが、コインを入れるとネットのメールやソーシャルサービス、VoIP 電話等を簡単に使える複合機能を備えた公衆ネット端末等が普及する事も、今後は必要と思った次第。このあたりは NTT 等、公共の通信網を管理する大手通信会社に頑張ってもらいたい部分だ。



原子力発電所からの放射性物質漏洩状況に関しても、政府や原子力保安院、東京電力、そして海外の様々な関係機関による重要な事実の公表が、テレビインタビューだけでは無くネットを通じてリアルタイムに広く知らせる仕組みが更に強化される事が望ましい。文部省発表のモニタリングポスト放射線計測データや水道の状況、風速や拡散シュミレーションなどのデータにはより使いやすい Open API を設定する事が出来れば、より多くのソフトウェア技術者がそれを元に UI を工夫して、一般ユーザーが理解し易い様に工夫された情報提供が可能となるはずだ。地震後三週間が過ぎて情報が断片的になり、報道も限定的になっているが、被害の範囲は漏れ出る情報からは広がりを見せている。パフォーマンス的な記者会見や映像提供だけでなく、国民だけでなく世界中が注目している原発の状況を、より透明性高くリアルタイムに発信可能とする仕組みに、官民双方の協力で知恵を絞る必要があるだろう。



地震発生後、国内外の政府関係者、マスメディア、有識者、ソーシャルメディア経由の草の根情報、それぞれから多くの情報を解析し、Joi とも意見交換を続ける中で、今後ネットが果たすべき役割の重要性に身が引き締まる思いを強める。そして、より役立つ災害対応サービス開発に向けて、これまでのやり方にとらわれない、率直で建設的な意見交換を、更に続けて行きたいと思う。



Posted from iPad2 via dPad by drikin.

April 3, 2011 in Bear's Diary, Bear's Opinion | Permalink | Comments (0)

November 10, 2007

「ウェブ時代をゆく」読了。我が「けものみち」半生と、これからを考え始めた。

梅田望夫さんの最新著作、ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)。昨晩読み始めてから、意外な発見も有り興味深く、通勤時間も惜しまず読み続け、1日で読み終えてしまった。実は前職の Google で、はてな取締役という立場の梅田さんと渋谷のオフィスでお会いしたのだが、その際には仕事上解決しなければいけない重要な問題が両社間に山ほどあって、じっくりとお話しする機会が無く、残念に思っていた。その後、ウェブ進化論、ウェブ人間論を読み、本書を読む事で、梅田さんの真摯でストレートな思考プロセス、そして表裏一体に訴えかけられる、日本の大企業、中小企業、ベンチャー企業で働く全ての人たちの危機感を呼び覚ますメッセージが強く伝わり、自分の中で共振があって、久しぶりに読後感(読書感想文と呼べる程ではないのだが)を書いてみる気持ちになった。

意外な発見は、梅田さんの本書でのいくつかの固有名詞の引用が、当方のこれまでの、大企業から未上場ベンチャー企業、プロフェッショナル・ファーム、IT 外資系、そして上場したベンチャー企業迄、5社を経験した「けものみち」人生の転機で遭遇した人や会社と重なる部分が多い事。

Neoteny 時代の投資先だった IP Infusion 社の天才プログラマー石黒さんにフォーカスが当たった(第二章・新しいリーダーシップ)事は、以前ゲスト・ブロガーとして梅田さんのブログに登場していた事もあり、予想の範囲なのだが(詳細は当方の過去エントリー御 参照)、当方が初めてシリコンバレー・モデルに触れるきっかけとなったハイテク・マーケティング戦略立案専門のブティック・コンサル会社 Regis McKenna 社の名前が、梅田さんがロールモデルとして密かに注目した企業として本書に登場した(第四章・ロールモデル思考法)事には、非常に驚いた。

同社のコンサル・サービスの日本市場への導 入を、三菱商事勤務時の1990年代初頭、当方が所属していた部署が試行錯誤しつつ手掛けていたからだ。当方自身も Regis McKenna 社のアソシエイトの名刺を持って、日米のクライアント企業を Regis McKenna 社のコンサルタント達(その中には Crossing the Chasm を執筆したばかりの Jeoffrey Moore 居た)とともに毎日忙しく回っていた。レジス・マッケンナ社は Apple や Intel がまだ今ほど有名では無いベンチャーだった頃から、洗練されたマーケティング戦略構築を支援したコンサル会社。この仕事を通じての Silicon Valley ベンチャー精神との出会いが無ければ、当方は今の仕事に就いてはいなかっただろう。

Regis McKenna 社と、そしてその後、当時 PSINet 社 Interim CEO だった Joi (後に Neoteny CEO、そして現在当方が所属するデジタルガレージの共同創業者・取締役)との出会いは、当時の三菱商事・情報産業グループが大企業らしからぬベンチャー的事業取り組みをしていなければ生まれなかった。当方が「けものみち」に出る前迄のビジネスマンとしての基礎を築いてくれた、人材の総合インキュベーターとしての三菱商事には非常に感謝して居り、当時お世話になった方々との交流も今だに続いている。梅田さんと JTPA で近い距離にいる、渡辺さん大澤さんも、三菱商事での元同僚だ。

初期は原料系部門に所属していた為配属されたマレーシアから、Regis McKenna 社関係でシリコンバレー長期出張を経て Silicon Alley がまだ元気だったニューヨーク駐在に辿り着き、13年間の商社生活を経てベンチャー企業投資・育成の Neoteny へ転職、Six Apart のブログや IP Infusion の ZebOS と出会い、その後東京海上キャピタルに移って日本の金融系 VC業務・M&A 業務の基本を学び、Google Japan でネット業界全体を Vantage Point から俯瞰。昨年から再びデジタルガレージグループで、主としてシリコンバレー企業を対象とするベンチャー投資・育成事業へ回帰する、という波瀾万丈な当方の20年間の半生は、振り返ると梅田さんが言うところの「けものみ ち」そのものだった。大企業に居た13年間さえも、商社の内部で多くの部門を経験したことで「けものみち」に近い体験だった。ボルネオのジャングルの中(ちなみにこの頃仕事で歩き回っていた道は、水牛や大トカゲが闊歩する、本当の獣道だった(笑))から IT 聖地のサンフランシスコ・ベイ・エリア、世界のビジネスの中心たるマンハッタン迄を体験、同じ会社の中でやっている事業とは思えない様々な世界を見て来た。道なき道を疾走していた時には、そのステージを生き抜く為だけに必死で、周囲を眺める余裕も全く無かったのだが、今から振り返ると、5社全てでの経験が、今の自分を形作っている。1社欠けていても、今の自分は無い。そして5社で関係した多くの方々との交流は今も続き、当方の貴重な人脈財産となっている。

最近 CNET Japan から当方の仕事人生を回顧する様なインタビューを受ける機会が有り、数社を経験した当方の人生経験も、もしかすると若手の誰かには参考になるのかもしれない、と言わ れ、そんなものかと思っていたら、梅田さんはそれを「ロールモデル」、と本書で表現した。今迄はあまりブログにも書いていなかった当方のこれまでの仕事の経験を、今後は少しずつ話して行きたいと思う。いつかはそれが、若手の誰かに共鳴する事もあるだろう、と信じて。勢いに任せて、自分の仕事経験ばかりを長々と書いてしまったが、「ウェブ時代をゆく」、を読まねば、自分の経験を今一度振り返ろうとは思わなかったはず。そのきっかけを与えてくれた梅田さんに改めて感謝したい。これまでの、苦しい事も楽しい事も、多くの試行錯誤をした「けものみち」半生に、残りの人生で埋めて行くべき目標がたっぷりと詰まっていた事に、改めて気づかされたのだ。今後は、より多くの若手が「けものみち」を恐れず進める様、半歩進んだ案内者として多少のガイダンスも行っていきたいと思い始めた。

最後に、以前から考えていたのだが、実は Joi と梅田さんでこれまでオフィシャルな対談を行った事は無いはず。この二人が直接話すと、ポジティブな未来が更に拓けそうな気がする。対談本第二弾企画として、いかがでしょう?>梅田さん。

November 10, 2007 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack

October 04, 2007

X02HT からの TypePad Mobile 投稿テスト

そうか、Typepad Mobile は Windows Mobile 6  にも対応するのでこれは便利ですね。iPhone や iPod Touch 対応にばかり気を取られていましたが、X02HT ユーザーには嬉しい限り。

October 4, 2007 in Bear's Diary, Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack

November 04, 2004

ブッシュ大統領勝利後も続く、ソロス・ブログの決意

予想したより早期の、ブッシュの勝利宣言、ケリーの敗北宣言。米国民は保守傾向を強め、国の安全の為に現職の「強い」大統領を選んだという事だが、外から見ていると、よりテロ戦争を悪化させる結果を選択した様にも見えてしまう。他国の事と言えばそれまでだが、日本経済も米国経済と表裏一体部分があり、安全保障問題も緊密に結びついているので、今後はより深刻な心配をせねばならないのだろうか。さて、こういう形で選挙結果が出て気になるのは反ブッシュを猛然と掲げていた投資家、ジョージ・ソロスのブログの選挙後コメント。当方は選挙前から彼の動きに注目して来たが、ソロスはこの結果を知って、より意を強くした様だ。

ソロスは、まず、選挙結果に落胆を持って語る。

I hope, but don't trust, that the second Bush administration will have learned something from the mistakes of the first. What is at stake is our ability to recognize our own fallibility.

"fallibility" とは、あまり見た事が無い英単語かもしれないが、ネット英和辞典の英辞郎によると、「誤りやすいこと、誤りを免れられない性質」の事だ。そう、人間は過ちを犯し易く、なかなかそこから逃れる事が出来無い弱さも持っている。そして、ソロスは同時に強い決意を表明する。短期間で150万と急激に増加した読者の支持も受けた形で。

Having established the site in the run up to the election, I frankly did not pause to consider what to do with it afterwards. Given the outcome, I now feel strongly that it should continue. Exactly what shape the future content will take, and how actively I will pursue this weblog, will take some time to figure out. In the meantime, I am traveling to Europe to attend to the business of my foundation - but I'll be back.

"I'll be back." 熱烈なブッシュ支持者である、有名なカリフォルニア州現職知事の、主演映画名セリフを皮肉ったとも受け取れる、最後のコメントがかなり粋と感じた。ヨーロッパから戻った後のソロスの発言にも、引き続き注目したい。

November 4, 2004 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (1) | TrackBack

October 04, 2004

「ブッシュを再選してはいけない理由」を語る、ジョージ・ソロスのブログ

ジョージ・ソロスが、ブッシュの再選に強く異を唱える為、対話型のブログを自ら開始した。そのタイトルもずばり、"Why We Must Not Re-elect President Bush" である。情報ソースは、Boing Boing の執筆者の一人で、EFF でも活躍する Cory の Entry から。

まだ始まったばかりのブログではあるが、ジョージ・ソロスが自らブログで語る言葉には重みがある。クオンタム・ファンドを成功させた、ヘッジ・ファンドの帝王というイメージが強いソロスだが、1930年にハンガリーでユダヤ人として生まれ、ドイツの占領下をくぐりぬけて、英国へ移住、そして米国への移民となった。ロシア、東欧の自由化を助けてきた資産家としての彼の視点に基づく言葉を、アメリカ国民はどう受け止めるのだろう。以下、ブログ本文からの引用。

"All my experience has taught me that you can't introduce democracy by military means. It has to come from the people themselves."
"The way we invaded Iraq will make the task of spreading democracy more difficult than it was before. Acting arbitrarily and unilaterally has undermined our credibility. This is something I am experiencing personally in the field."

ブッシュの様な大統領も出て来るが、ジョージ・ソロスの様な資産家もそれに対してオープンに応戦する。やはりアメリカという国の懐は深い。そして重要なのは、こうしたオープンな論戦を斟酌して、アメリカ国民が選挙でどう動くか、である。

October 4, 2004 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack