November 10, 2007
「ウェブ時代をゆく」読了。我が「けものみち」半生と、これからを考え始めた。
梅田望夫さんの最新著作、ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)。昨晩読み始めてから、意外な発見も有り興味深く、通勤時間も惜しまず読み続け、1日で読み終えてしまった。実は前職の Google で、はてな取締役という立場の梅田さんと渋谷のオフィスでお会いしたのだが、その際には仕事上解決しなければいけない重要な問題が両社間に山ほどあって、じっくりとお話しする機会が無く、残念に思っていた。その後、ウェブ進化論、ウェブ人間論を読み、本書を読む事で、梅田さんの真摯でストレートな思考プロセス、そして表裏一体に訴えかけられる、日本の大企業、中小企業、ベンチャー企業で働く全ての人たちの危機感を呼び覚ますメッセージが強く伝わり、自分の中で共振があって、久しぶりに読後感(読書感想文と呼べる程ではないのだが)を書いてみる気持ちになった。
意外な発見は、梅田さんの本書でのいくつかの固有名詞の引用が、当方のこれまでの、大企業から未上場ベンチャー企業、プロフェッショナル・ファーム、IT 外資系、そして上場したベンチャー企業迄、5社を経験した「けものみち」人生の転機で遭遇した人や会社と重なる部分が多い事。
Neoteny 時代の投資先だった IP Infusion 社の天才プログラマー石黒さんにフォーカスが当たった(第二章・新しいリーダーシップ)事は、以前ゲスト・ブロガーとして梅田さんのブログに登場していた事もあり、予想の範囲なのだが(詳細は当方の過去エントリー御 参照)、当方が初めてシリコンバレー・モデルに触れるきっかけとなったハイテク・マーケティング戦略立案専門のブティック・コンサル会社 Regis McKenna 社の名前が、梅田さんがロールモデルとして密かに注目した企業として本書に登場した(第四章・ロールモデル思考法)事には、非常に驚いた。
同社のコンサル・サービスの日本市場への導 入を、三菱商事勤務時の1990年代初頭、当方が所属していた部署が試行錯誤しつつ手掛けていたからだ。当方自身も Regis McKenna 社のアソシエイトの名刺を持って、日米のクライアント企業を Regis McKenna 社のコンサルタント達(その中には Crossing the Chasm を執筆したばかりの Jeoffrey Moore も居た)とともに毎日忙しく回っていた。レジス・マッケンナ社は Apple や Intel がまだ今ほど有名では無いベンチャーだった頃から、洗練されたマーケティング戦略構築を支援したコンサル会社。この仕事を通じての Silicon Valley ベンチャー精神との出会いが無ければ、当方は今の仕事に就いてはいなかっただろう。
Regis McKenna 社と、そしてその後、当時 PSINet 社 Interim CEO だった Joi (後に Neoteny CEO、そして現在当方が所属するデジタルガレージの共同創業者・取締役)との出会いは、当時の三菱商事・情報産業グループが大企業らしからぬベンチャー的事業取り組みをしていなければ生まれなかった。当方が「けものみち」に出る前迄のビジネスマンとしての基礎を築いてくれた、人材の総合インキュベーターとしての三菱商事には非常に感謝して居り、当時お世話になった方々との交流も今だに続いている。梅田さんと JTPA で近い距離にいる、渡辺さんや大澤さんも、三菱商事での元同僚だ。
初期は原料系部門に所属していた為配属されたマレーシアから、Regis McKenna 社関係でシリコンバレー長期出張を経て Silicon Alley がまだ元気だったニューヨーク駐在に辿り着き、13年間の商社生活を経てベンチャー企業投資・育成の Neoteny へ転職、Six Apart のブログや IP Infusion の ZebOS と出会い、その後東京海上キャピタルに移って日本の金融系 VC業務・M&A 業務の基本を学び、Google Japan でネット業界全体を Vantage Point から俯瞰。昨年から再びデジタルガレージグループで、主としてシリコンバレー企業を対象とするベンチャー投資・育成事業へ回帰する、という波瀾万丈な当方の20年間の半生は、振り返ると梅田さんが言うところの「けものみ ち」そのものだった。大企業に居た13年間さえも、商社の内部で多くの部門を経験したことで「けものみち」に近い体験だった。ボルネオのジャングルの中(ちなみにこの頃仕事で歩き回っていた道は、水牛や大トカゲが闊歩する、本当の獣道だった(笑))から IT 聖地のサンフランシスコ・ベイ・エリア、世界のビジネスの中心たるマンハッタン迄を体験、同じ会社の中でやっている事業とは思えない様々な世界を見て来た。道なき道を疾走していた時には、そのステージを生き抜く為だけに必死で、周囲を眺める余裕も全く無かったのだが、今から振り返ると、5社全てでの経験が、今の自分を形作っている。1社欠けていても、今の自分は無い。そして5社で関係した多くの方々との交流は今も続き、当方の貴重な人脈財産となっている。
最近 CNET Japan から当方の仕事人生を回顧する様なインタビューを受ける機会が有り、数社を経験した当方の人生経験も、もしかすると若手の誰かには参考になるのかもしれない、と言わ れ、そんなものかと思っていたら、梅田さんはそれを「ロールモデル」、と本書で表現した。今迄はあまりブログにも書いていなかった当方のこれまでの仕事の経験を、今後は少しずつ話して行きたいと思う。いつかはそれが、若手の誰かに共鳴する事もあるだろう、と信じて。勢いに任せて、自分の仕事経験ばかりを長々と書いてしまったが、「ウェブ時代をゆく」、を読まねば、自分の経験を今一度振り返ろうとは思わなかったはず。そのきっかけを与えてくれた梅田さんに改めて感謝したい。これまでの、苦しい事も楽しい事も、多くの試行錯誤をした「けものみち」半生に、残りの人生で埋めて行くべき目標がたっぷりと詰まっていた事に、改めて気づかされたのだ。今後は、より多くの若手が「けものみち」を恐れず進める様、半歩進んだ案内者として多少のガイダンスも行っていきたいと思い始めた。
最後に、以前から考えていたのだが、実は Joi と梅田さんでこれまでオフィシャルな対談を行った事は無いはず。この二人が直接話すと、ポジティブな未来が更に拓けそうな気がする。対談本第二弾企画として、いかがでしょう?>梅田さん。
November 10, 2007 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack
October 04, 2007
X02HT からの TypePad Mobile 投稿テスト
そうか、Typepad Mobile は Windows Mobile 6 にも対応するのでこれは便利ですね。iPhone や iPod Touch 対応にばかり気を取られていましたが、X02HT ユーザーには嬉しい限り。
October 4, 2007 in Bear's Diary, Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack
November 04, 2004
ブッシュ大統領勝利後も続く、ソロス・ブログの決意
予想したより早期の、ブッシュの勝利宣言、ケリーの敗北宣言。米国民は保守傾向を強め、国の安全の為に現職の「強い」大統領を選んだという事だが、外から見ていると、よりテロ戦争を悪化させる結果を選択した様にも見えてしまう。他国の事と言えばそれまでだが、日本経済も米国経済と表裏一体部分があり、安全保障問題も緊密に結びついているので、今後はより深刻な心配をせねばならないのだろうか。さて、こういう形で選挙結果が出て気になるのは反ブッシュを猛然と掲げていた投資家、ジョージ・ソロスのブログの選挙後コメント。当方は選挙前から彼の動きに注目して来たが、ソロスはこの結果を知って、より意を強くした様だ。
ソロスは、まず、選挙結果に落胆を持って語る。
I hope, but don't trust, that the second Bush administration will have learned something from the mistakes of the first. What is at stake is our ability to recognize our own fallibility.
"fallibility" とは、あまり見た事が無い英単語かもしれないが、ネット英和辞典の英辞郎によると、「誤りやすいこと、誤りを免れられない性質」の事だ。そう、人間は過ちを犯し易く、なかなかそこから逃れる事が出来無い弱さも持っている。そして、ソロスは同時に強い決意を表明する。短期間で150万と急激に増加した読者の支持も受けた形で。
Having established the site in the run up to the election, I frankly did not pause to consider what to do with it afterwards. Given the outcome, I now feel strongly that it should continue. Exactly what shape the future content will take, and how actively I will pursue this weblog, will take some time to figure out. In the meantime, I am traveling to Europe to attend to the business of my foundation - but I'll be back.
"I'll be back." 熱烈なブッシュ支持者である、有名なカリフォルニア州現職知事の、主演映画名セリフを皮肉ったとも受け取れる、最後のコメントがかなり粋と感じた。ヨーロッパから戻った後のソロスの発言にも、引き続き注目したい。
November 4, 2004 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (1) | TrackBack
October 04, 2004
「ブッシュを再選してはいけない理由」を語る、ジョージ・ソロスのブログ
ジョージ・ソロスが、ブッシュの再選に強く異を唱える為、対話型のブログを自ら開始した。そのタイトルもずばり、"Why We Must Not Re-elect President Bush" である。情報ソースは、Boing Boing の執筆者の一人で、EFF でも活躍する Cory の Entry から。
まだ始まったばかりのブログではあるが、ジョージ・ソロスが自らブログで語る言葉には重みがある。クオンタム・ファンドを成功させた、ヘッジ・ファンドの帝王というイメージが強いソロスだが、1930年にハンガリーでユダヤ人として生まれ、ドイツの占領下をくぐりぬけて、英国へ移住、そして米国への移民となった。ロシア、東欧の自由化を助けてきた資産家としての彼の視点に基づく言葉を、アメリカ国民はどう受け止めるのだろう。以下、ブログ本文からの引用。
"All my experience has taught me that you can't introduce democracy by military means. It has to come from the people themselves."
"The way we invaded Iraq will make the task of spreading democracy more difficult than it was before. Acting arbitrarily and unilaterally has undermined our credibility. This is something I am experiencing personally in the field."
ブッシュの様な大統領も出て来るが、ジョージ・ソロスの様な資産家もそれに対してオープンに応戦する。やはりアメリカという国の懐は深い。そして重要なのは、こうしたオープンな論戦を斟酌して、アメリカ国民が選挙でどう動くか、である。
October 4, 2004 in Bear's Opinion | Permalink | Comments (0) | TrackBack

