北海道方面でも約1名、発売日から入手してしまった人がいる様だが、我が家にも EOS Kiss Digital がやって来た。購入計画面では、多くの優秀なコンパクト・デジカメがこの一台の為に「カメラ柱」として貢がれてしまった(東芝 Allegretto M700も、Canon G2 Black も、EOS Kiss Digital 様の為に出て行ってしまった。)格好だが、このデジカメはそうまでして入手したくなる様な、不思議と強力なオーラを放っていた。自分にしては珍しく、全く本体を触らないで予約買い(といっても市場調査は綿密に行い、kakaku.com の最安値よりさらに安い値段でレンズキットを購入。昔から通っている、知る人ぞ知る地元のカメラ屋なのだが、レンズキットを12万1千円迄下げてさらに純製バッテリーのスペアまで予約特典としてつけてくれたのには驚いた。)。家に戻ってPackage を開けて初めて本機に触れたのだが、Web 上から収集していた各種評価情報に相違無い仕上がりだった。手首が腱鞘炎になってしまいそうだった EOS 10D 程の、石の塊を持ち上げた様な苦しい重量感は無く、かといってアナログ一眼レフの普及モデルの EOS Kiss ほどの軽量・チープさでもない。ちょうどその間に位置する、微妙な仕上がりだ。チタン色に近いシルバーの色合いも良い。
本機の為に専用設計されたという 18-55mm ズーム・レンズ付のレンズキットを選択。この専用レンズの仕上がりはちょっとチープかな、と思う部分はあるが、軽量な本体との重量バランスは悪く無い。ULTRASONIC 駆動のレンズで、AF の合焦スピードも非常に高速で、動作も静粛。これまでの、コンパクト・デジカメの液晶画面を中途半端な距離から見ながらの撮影スタイルから、ファインダーを覗きつつ作画に集中するというスタイルに戻って、ああ、一眼レフってこうだったよね、という、久しぶりに写真を撮影する喜び、を思い出した様な気がした。コンパクトデジカメでも、その撮影能力で出来る範囲一杯でのスナップ的な作画を一生懸命やっていたのだが、一眼レフの交換レンズの、被写界深度や、ボケ味をファインダーの中で確認しながらの撮影という楽しさを思い出してしまうと、簡単にはコンパクト・デジタルには戻れないという気がしてしまった。
カメラを構える要となるグリップはやや大き目だが、手の大きい自分にはちょうど良い。メニュー操作も、これまで IXY Digital などの操作画面に慣れている自分には使い易く、ボタン類の配置も悪く無い。電源オン・オフボタンの配置も、モードダイヤルの横だが、スイッチオンしてすぐにモード選択に入るという自然な流れを作ることが出来る良い配置だと思った。
一度はアナログの銀塩カメラからは卒業して完全デジタル化だ、とばかりにアナログ EOS もお嫁に出して一眼レフを離れた気になっていたが、EOS Kiss Digital がまた、一眼レフでじっくり行う絵づくりの楽しみを取り戻してくれた。アナログ EOS 時代のレガシーとなっていたフラッシュや、レンズなどもそのまま使えるのも有り難い。PC の世界にいると、周辺機器との下位互換性が数年で無くなってしまうのもザラだったが、一眼レフカメラの世界はユーザーのことをもう少し親切に考えてくれている気がする。
さあー、いろいろ撮影するぞ、と思うとしかし、外は台風前の雨。作例写真は、晴れ間が出てから、ですな。