Air H" Phone Street さんの、AH-K3001V (愛称:京ぽん)を Trackback で評価する企画には既に多数の熱い Report が TB されている。当方も1日利用し終わったところで初期インプレッションを。
とりあえず AH-K3001V を24時間使用しての結論から言うと、「これはしばらく手放せない優れた携帯ブラウザ&メーラーだな」という素直な満足感。事前の評判通りの便利さ、スペックの十分さを確認出来た。手ぶらで出かけたい時に唯一台選ぶとしたらコレだな、と思える絶妙のモバイル・バランス感覚が素性の新携帯。
以前は DDI Pocket の PHS を愛用していたのだが、ここ3年ばかりは携帯に完全に乗り換えていた。首都圏中心に移動するビジネス・ユーザーとして、PHS のコストメリットは十分理解しながらも、機能革新の中途半端さをなんとなく PHS に感じていたのだ。新しい端末に、殆ど手が出なかった。データ専用端末としてのCFカード型 Air H" は使い続けていたが、音声端末の利用はずっと控えていたのだ。
その自分を PHS に再び呼び込んだ AH-K3001V の魅力は、前の Entry でも述べたが、なんと言っても Opera ブラウザの搭載。CPU パワーも、液晶面積も限られる小さな端末上で Opera がどの程度 PC と同じ Web の世界を携帯端末上で見せてくれるのか、それが一番の関心事だった。
端末を予約したビックカメラ新宿西口店で閉店よりちょっと前に端末を受け取るやいなや、十字キー右下にある Opera ボタンを押して、テンキーから URL を入力、いくつかの Web Page を見てみる。 使い放題サービスの 32K Packet サービスにつながり、認証が終了するまで10秒程度かかるので、立ち上がりはひと呼吸待たされる感覚があるが、つながるとそれなりに速い。それなりというのは、FOMA 364K + NetFront の組み合わせの時の様につながると非常にサクサクと Web ページが表示される訳では無い、という事。例えば、Google の検索ページを完全に表示しきる迄は、32K Packet サービスに無事接続してからさらに10秒弱待たされる。Asahi.com や当方の Weblog ページを完全に表示しきるまでに要する時間も、ネットのパフォーマンスにもよるが、2分弱は必要だ。
と書くと、遅くて使いにくいのでは、と思われてしまうかもしれないが、そうでも無い。AH-K3001V はデータ読み込み中でも、先にダウンロードした部分を表示してくれるし、画面の縦横スクロールも可能なので、ダウンロードが済んだデータを読んでいるうちに全てのページの読み込みがやがて終了する、そういうイメージなのである。
Opera の機能である、Small Screen Rendering で携帯画面サイズにあわせて PC 用の大きな Web Page の横幅を縮小、縦スクロールだけで表示して見るのはもちろん実用的だが、当方が意外と気に入ってしまったのはフルスクリーンによる表示。ちょうどデジカメで撮影画像を再生ズームし、画像のあちこちを十字ボタンで動かして確認する様に、大きな Web Page を縦横自由に小さな携帯画面という窓を使って見る事が出来る。
Sidebar を配置した Weblog ページも、フルスクリーン表示にするときちんと PC 上で見るレイアウトのままに携帯からも見る事が出来るのはなかなか楽しい。縦横スクロールはさくさく、というほどではないが、いらいらしない程度に画面を動かしてくれるので実用の範囲内と感じる。フルスクリーンモードは、フレーム構成の Web Page を見る時にも便利。SSR で小さくしてしまうとうまく見えないフレーム画面も、フルスクリーンだときちんと見る事が可能だ。Web 上のグループ・スケジューラや大きめの詳細地図等、縦横配置が意味を持つ(=Rendering で縮小したり、縦横比率を崩さない方が良い)ページを見る場合でも、フルスクリーン表示はかなり重宝する。本当はデジカメの様にフルサイズ画面のズームイン、ズームアウト機能がさらに付いていれば文句無いのだが、そこまではこのサイズの端末にまだ望んではいけないだろう。ともかくも Opera による Web ブラウズは、なかなか実用的。いつも PC で見る Web Page の Bookmark をあらかた移植して試してみたが、全て問題無く見る事が出来た。MovableType, TypePad への Entry Posting Test も、SSL, CSS 対応なので大丈夫。Entry 出来る事が実用的なのか、というとそうではなく、Web 画面からの Weblog 入力は Sigmarion III くらい画面が広くないとちとつらい。携帯の画面サイズでは、やはり email posting による Moblog がより実用的と感じられる。ので早速、そちらも設定、11万画素 CMOS カメラからの Moblog も TypePad に設定してみる。
その結果は、こちらのMoblog Photo Album に。11万画素の限界、周辺をきちんと描写しきれないトイカメラに近いレンズの問題は明らかだが、まあとりあえずはなんとか雰囲気は伝えられる。子供の相撲大会があったので体育館の上から会場撮影をしてみたが、遠くの陽が差し込む窓は白トビしているが、会場内の子供たちの様子はそれなりに伝わっている。マクロ撮影に近い距離で写した花はさすがにピンぼけちっくだが。撮影後、Moblog に気軽に写真を送る操作は工夫されている。アノテーションをつけず写真だけを送るなら、「撮速メール」機能という、送信先メールアドレスを3つまで設定できる簡単写真貼付メール送信の仕組みを利用して、そのひとつに Moblog Mail Address を設定すれば良い。撮影後は、ボタンを3回押すだけで Moblog に送信出来る。
POP3 メーラーは、メールボタンを押してテンキーから数字の「3」→「1」と押して行くと、3つのアカウントの送受信をしてくれる。設定まではテンキーから行うのでちょっと面倒だが、設定してしまえばこれが簡単な操作で出来るのは嬉しい。添付ファイルにも対応している。メール本文中の URL クリックで Opera を起動出来るので、PC で使っている Bookmark を AH-K3001V に移すには Mail 経由でブックマークをコピペして移すのもラクで良い。当方はこれで PC のブックマークを殆ど移してしまった。
蛇足だが、Opera は新バージョンの Ver. 7.5 Beta では RSS feed 対応機能を持っている。AH-K3001V の後継機種では、PHS から気軽に RSS Reader を起動する、そんな芸当も出来る様になるのかもしれないので楽しみな部分だ。(Opera 部分のみのFirmware update は、さすがに出来ないのでしょうね....)
その他、細かい点で気づいたところは、
・他のユーザーも指摘されている、ブックマークでの登録番号をテンキーから入力し Opera ボタンを押すだけで当該 Web にすぐに接続出来る機能はとても便利。
・十字キーの上にある、画面のページ単位での縦スクロールボタンは、ボタンが小さく、ストロークも浅くて押しにくい。これはサイドにダイヤル等を設定する形に今後出来れば変えて欲しい。
・マニュアルを読む事無しにほとんどの初期設定が可能だったので、メニューナビゲーションは悪く無い。
・予測変換は、最近の携帯電話に慣れていると変換候補が最初は少ない印象だが、学習機能があるので、使っているうちにそれなりに賢くなってくれる。
・背面の電池は、データ通信を長時間続けているとかなり暖まって来る。熱くてもてない程にはもちろんならないが、ホカロン位の暖かさにはなる。充電を終えてすぐも同様。筐体が薄く作ってあるので、仕方ないところか。筐体の薄さは一方、胸ポケットにするりと入るサイズで良い。
・携帯電話では大抵サイドにある、独立したカメラ起動ボタンはなく、メニューから選択でカメラを起動する。カメラ機能はおまけ的なこの端末らしいといえばそうだが。
・Address ブック機能は、以前の PHS のものから比べると(比較対象が何しろ3年前なので古いが。)格段の進歩。入力項目は携帯電話とほぼ同等。電話/電子メールアドレスを1名あたり3件ずつ、500名分の登録可能だ。これでスケジューラー機能が内蔵されていれば PIM 的にも使えるが、残念ながらカレンダー表示機能程度しかない。
・データ通信とは関係無いが、携帯を長期利用して久しぶりに PHS に戻ると、その音声通話の品質の高さも嬉しい。きれいな音で、しかも通話料が安い。音声通話料金はデータの固定料金とは別の従量制だが、データ利用だけでなく音声端末としての利用も増えそうだ。待ち受け可能時間400時間というのはさすが PHS。
以上、多少の辛口評価部分もあるが、それでもこの端末の総合評価は高い。PIM 機能の不備も、Web 上の PIM ソフトをデータ量を気にせずそのまま使えるので、そちらを利用すれば良いのだ。PC とのシンクロ作業が必要無くなる分、かえってラクとも言えるのかもしれない。
この端末の凄まじさは、これが Opera ブラウザ搭載 Air H" Phone の第一弾に過ぎない、という点である。Opera が将来 RSS 対応になり、Hardware も CPU 処理速度や液晶画面サイズを上げ、ネット接続も 128K 対応になったりしたら一体どうなるのか。将来のプロダクトにも高い期待感を抱かせる、新カテゴリ携帯 eGadget がまたひとつ誕生した。いやはや、今後も楽しみだ。