さて、ついに Sony VAIO Type U、登場である。正式発売は明日だが、事前予約していた事も有り、無事 U50 を本日入手。某量販店は、発売日前日夜には大体フライング販売をしてくれるので有り難い。この Entry 冒頭の写真に写っているのは、手書き PDA ファンには懐かしい、Sony PalmTop PTC-500 (IIDA さんの PalmTop Museum に詳細有り)。お弁当箱大の PDA は1990年当時としては画期的な手書き文字認識ソフトと大きな液晶ディスプレイを備え、Mobile Computing の未来を実際の製品として見せつけてくれた。あれから14年。遂にフルファンクションの OS と高速な CPU を備えた PalmTop が、Vaio Type U として姿を現した。10年以上前の Mobiler の夢を、21世紀の最新 Palm-size Computer は、どこまで叶えてくれるのだろう。とりあえず入手初日のインプレッション。
スイッチを入れると、まずは Windows の初期設定。二つ折りになるコンパクトな付属キーボードを接続する様に促される。キーボードは軽く薄い割にはそれなりのキータッチで合格点。PDA 用のものと形状は似ているが、一回り大きく、キーのクリック感もより好ましい。一方で、USB コードは本体収納にはならない。デザイン的にもなかなか凝ったキーボードなので、コードの処理迄気を遣って欲しかった。欲を言えば Bluetooth 対応 Wireless Keyboard にして欲しいものだが、電池の消費も有り、それは今後の課題か。
いずれにせよ、キーボードを接続し、今度はタッチ式液晶の微調整。PDA で良く行う、十字のポイントを数回スタイラスでクリックする事で、この調整も終了。ちなみに本体付属のスタイラスは、ハンドストラップに接続された木の葉型のものだが、ホールド感が安定せず、プラスチッキーで安っぽい仕上げでもあるので、これは PDA 用のスタイラスペンなどを使った方が良さそうだ。
さて、いよいよ Internet 接続。この大きさで 802.11g の 54Mbps 対応の WiFi 内蔵である点は嬉しい。何なくネットにつながって、早速 VAIO ソフトウェアの Update をオンラインで開始。発売後すぐだが、Sony の VAIO Support Site には既に7点程の Update 項目がある。光ファイバ - 11g 経由の接続なので、最大 33MB のファイルサイズの Updater もあるが、ささっとダウンロード。無事に Update 終了。
両手でつかむ操作スタイルは、Mobile 特化端末としては非常に都合が良い。以前所有していた Vaio U3 でもやはり両手でつかむスタイルで電車内等で利用していたが、キーボードを備える Note 型だったので、筐体を開くと縦長になり、多少不格好な通勤電車内利用スタイルとなっていた。今度の Type U は、U3 の液晶部分だけを切り取った様な筐体。これはホールドしやすいし、電車内で使っていても PDA や携帯ゲーム機を持っている様なスタイルで、違和感が無い。
さて、ホールドしてからが、利用初日の一番の関心事のテストである。この超小型筐体に 900MHz のプロセッサー、そして大型のリチウム電池の装着。どの程度の発熱となるのかが、本機を実際に利用するまで、最も心配な点だった。しばらく充電してから、その熱のテスト。ものすごく熱くなるかなと予想していたが、電池裏部分は、さすがに持てなくなるほどではなかった。だが、前面の液晶パネル部分の熱量もしばらく使っているとかなり高まる。そして、最も驚いたのは、熱を排出する為の内部ファンが常に駆動していて、その部分が結構なメカニカルノイズを発生している事。静かな部屋では、かなりうるさいと思える音を、上部の排気口から発している。さらにそこから排出される空気に手をかざすと、弱いドライヤーの様なもわっとしたあたたかい空気が。更には、電池の持ちも課題。満充電にした状態で、付属の標準バッテリーでは約1時間50分という駆動可能時間の表示。電池も小型化した代償ではあろうが、2時間持たない電池、高温の発熱・内部ファンの騒音対策は今後の Type U の大きな改善ポイントとなるだろう。
とりあえず以上に、まずは欠点に近いものを列記したが、本機のウリはやはり携帯しやすい超小型サイズ。パソコンであることを忘れさせる重さ、とはこういうものだろう。1kg の小型 Note PC の持ち運びでも、長時間移動となるとややつらい腰痛持ち Mobiler には、標準電池込み 550g の本体重量は嬉しい。205 g の折りたたみキーボードとあわせても、800g 以下というのは立派。
デスクトップに、周辺機器と接続した状態で置いておけるポート・リプリケーターの操作感も良好。押し易い前面に配置されたボタンを押すと、外部 Display 出力に切り替わり、リプリケーターに接続したより大きな液晶 Display 等に高速描画出来る。自宅と会社にこのリプリケーターを1台ずつ備えておくことが出来れば、家と仕事場、そして通勤時にも、同じデータファイルを、それぞれのシチュエーションにあわせた Display サイズで自在に利用する事が出来る訳である。
オプション品としては本日は専用のキャリングケースを Get。Type U を机の上で立てて使えるつっかえ棒を内蔵したケースで便利。しかし、本格的に Type U を活用するなら、どうやらこの専用 DVD-RW ドライブも買わねばならなくなりそうだ。VAIO では、リカバリーには Sony 純正のドライブが必要。しかも、今回はぎりぎりのコスト削減の為なのか、普通なら本体に付属するはずの、初期状態に戻す為のリカバリディスクすらついていない。このディスクは、必要な時に別途購入するか、或いは Sony 製 VAIO 専用ドライブを使ってリカバリディスクを自分で作成しなければならないのである。製品の価格を安くするためのコストダウンは勿論大切だが、リカバリディスクが HDD のエラー等で急遽必要になった時に、それが手元にないと困る事が多いだろう。Sony お得意の、高目価格設定の周辺機器を売って稼ぐぞ、戦略がここには見え隠れする。5.5 時間駆動を可能とする L サイズバッテリーは、某量販店では正式な発売日前日から既に品切れとなっていた。かなり高価だが、真の Mobiler を目指すならこれもまた必要となってしまう。なんだかんだで、やはり高くつくのである、VAIO は。
あ、しかも高くつくだけでなくて、重量も、L サイズバッテリなら、320g もある。S サイズ装着時と比較すると、本体との合計重量は 150g 程増加する。するとキーボードとあわせて合計 950g。あれ、新発売の9時間モバイルマシン、Panasonic Let's Note R3 と、総合計の重量はたいして変わらなくなってしまうでないの。
うう〜む、Mobiler の真の夢を叶える Sony VAIO 登場には、あと数世代待つ方が良いのかもしれません。いろいろ大変なところもある VAIO Type U ですが、もうすこし使って様子を見てみましょう。Mobile 道のあくなき探求は、まだまだ続きます。