さて遂に、Apple iMac G5 発売である。量販店では事前予約しないと発売開始当初は店頭在庫を手に入れられない店も多かったが、Apple 総本山たる銀座のアップルストアは iPod mini や AirMac Express 同様、大量の在庫を iMac G5 新製品でも持っていた様だ。値引きが渋い分、最近は優先確保出来る豊富な在庫をアピールする戦略に出ている様である。まんまとその戦略に乗る事にして、予約していなかった当方は銀座店でまず17インチの実機を見学。iPod と同じデザイナーの設計と聞く筐体は、実物を見ても、ほれぼれする美しい仕上がり。Jobs がこういう Mac を欲しがったのだろうな、とコンセプトがわかり易い。iBook G4 を家ではデスクトップがわりに使って来たので、導入には多少迷うところもあったが、パワフルな G5 プロセッサ、17インチ以上の大きなディスプレイ・サイズ、そして何といってもこの薄型一体デザインに惹かれて、結局購入。本日土曜午後、宅急便で無事届けられた。さてまずは、iBook G4 のアプリケーションや設定を移す作業にかからねばならない。これまでの機種変更経験から、完璧に移行するには数時間はかかるだろう、と予想していたが、それは嬉しい方向に裏切られた。移行時間、わずか30分で終了。Panther (Mac OS X ver. 10.3) 恐るべし。
これまで、パソコン機種変更時の最大の障害となっていたのは、煩雑な設定を移行する面倒さ、だった。インターネット接続設定、アプリケーションのコピーと設定、個人作成ファイルの移行などなど。しかし、それを超えて機種変更しよう、と思い立つ事が出来たのは、アップルストアの店員さんが教えてくれた、Panther のターゲット・ディスク機能。iMac G5 - iBook G4 を Firewire の6ピン/オス・オスのケーブルで接続、iBook G4 側を「T」キーを押しながら起動すると、iBook G4 が iMac G5 に接続された外部ディスクとして認識されるのだ、という。それなら移行に必要なコピー作業もラクになるだろう、と覚悟を決めて iMac G5 と Firewire ケーブル1本を購入。さて、指示通りに iBook G4 をつなぐと....そのラクさは想像以上だった。
接続し、インストールのアシスタント・ソフトを立ち上げると、まず表示されるのが、古いマックのデータを、新しいマックに移行しますか、という問いかけ。移行する方向で指示通りに画面展開して行くと、前述のターゲット・ディスク機能を実行する様に促され、それを行うと、自動的に iBook G4 の設定環境やインストール済みソフトを、全て iMac G5 に移す作業が始まるのである。これはラクチン。最初は移行にかかる時間が、当方の iBook G4 の使用済みディスク容量は 20GB しかないのに、6時間、との表示。Firewire のデータ伝送スピードでそれはないでしょ、と思っていたら所要時間計算は段々減り、結局30分弱で Firewire 経由の 20GB 転送が完了。はい、これで iBook G4 環境の完全移行、終了。
シンプルな機種設定の移行方法があれば良いな、とずっと思ってきたのだが、Apple は Panther OS であっさりそれを実現していた事を知り、感心しきり。これならずっと Apple Macintosh を買い換え続ける事になるだろうな、と思ってしまった。Windows OS ベースの PC にインストールした全環境の新機種への移行は、なかなかこうシンプルにはいかないものだ。
単なるコピーだけではなく、各種設定を新マシンに移行し、そして iLife 系のソフト等アップグレード版が新マシンに導入済みである場合は、自動的にそちらが選ばれている。やや煩雑なインターネット設定も、AirMac 設定や Ethernet 設定がきちんと引き継がれている。iPhoto / iTunes / Apple Mail / Safari Browser 等も、問題無し。Safari のブックマーク移行も、完璧だ。30分 Firewire で接続しただけで、新 iMac G5 はこれまでの旧マシンである iBook G4 の設定を全て飲み込み、そして iLife 他 Apple 系純正アプリケーションは必要に応じて自動アップグレードされてしまったのだ。生まれて初めて、全くファイル移行、アプリ設定で悩まされる必要の無い、ラクチンでスムーズな機種変更が完了。Mac 系の移行は Windows PC と比べるともともと容易ではあったが、さらにそれが進化した事を確認。これなら、コンピュータの専門知識が無い人だって、Firewire ケーブル一本を買えば、自分で機種変更が出来るはず。Jobs (そして Apple 社のエンジニア)偉大なり、と思わず心中快哉を叫んでしまったのは言うまでもない。
iMac G5 のもう一点優れた部分は、これは最近のアップルのハードウェア全般に言える事でもあるが、拡張の場合の必要箇所へのアクセスの容易さ。本体を椅子の上に液晶画面を下にして置き、モニターのサイド、底面側にあるプラスネジを3つゆるめるだけで、大きいアルミのステーを引っ張れば背面樹脂カバーを簡単に外せる。あとは、メモリー(今回は 512MB を追加して、合計 768MB DDR SRAM に。)、AirMac Card 等をスライド装着するだけ。所狭しと部品が並ぶ iMac G5は、美しく詰められた大盛り松花堂弁当の様である。(Apple なので、洋風弁当、の方が正しいか。)
全ての設定が終わって実際に利用しはじめて、その他でも感心する部分は多い。iBook / PowerBook ユーザーでも、あまり外へ持ち運ばずコンパクトなデスクトップがわりに自宅やオフィスで利用していた人なら、十分機種変更検討するに価するだろう。ともかく全ての動作が、1.8GHz G5 CPU できびきびとしてくる。iLife も Garage Band や iDVD の入ったフルバージョンが付属するのが嬉しい。iPhoto も、アプリケーションがアップグレードされて、iBook G4 では最近もたつく様になった多数の写真ファイルの読み込み等が一瞬で処理される様になった。
心配した冷却ファン音も、決して静かという訳ではないが、iMac の場合は起動中は常に iTunes をかけていることになるので、まあ、気にならない。薄い筐体に発熱量の高い G5 Processor を入れて大丈夫か、とも思っていたが、筐体もそれほど熱くはならない。放熱設計は、かなり良く考えられている様だ。
いろいろアプリを使い倒した後で、DVD の映画を一本(ベンアフレックのペイチェック)本機で見てみたが、もう6年以上愛用している BOSE の小型スピーカーを接続するだけで、なかなか上質なホーム・ミニ・シアターが出来上がる。底面にある内蔵スピーカーの音質ではちょっと役不足感はあり、パワフルな外部スピーカーがあると楽しみが増える。iBook G4 は DVD 映画をモバイル環境で見るには良かったが、じっくり見るには17インチ以上の画面サイズがある方がやはり楽しめる。この画面の大きさなら、映画を「観賞」した気分になれるのだ。再生途中で時々画面停止する瞬間があるのが多少気になるが、全般には合格。
シンプルで美しい筐体だが、背面に縦一列にならんだ接続端子に、USB / Firewire 機器をたくさんつなぐと、背面はケーブルだらけになってしまう。このあたりは、Keyboard / Mouse を Bluetooth 化し、プリンタ接続を AirMac Express 等でおこなえばすっきりさせられるが、追加投資が必要になる。当方としては Mouse はロジテックの使い良い RF Wireless なので、それ以外の機器は少しずつ追加する事を考えている。iMac G5 初日レポートはとりあえずこんな所で。初日から、すっかり気に入って使っています。