昨日夕刻の、千葉県北西部を震源とするマグニチュード 5.7 (その後 M6 に訂正)の地震が起きたその瞬間、当方は新宿駅に到着、エスカレーターを下っているところだった。エスカレーターというのは通常、上下・前後の動きしか無いはずなのだが、小刻みな想定外の横揺れが大きな音とともに襲った。ロンドンのテロ事件直後でもあり、たまたま新宿というターミナル駅でもあったことから、スワ、これは駅構内で爆破でも起こったのかと身構えたが、横揺れの時間が長い。エスカレータを下りつつこれは地震に違い無いと判断、地下コンコースに到着するやすぐに上りエスカレータで再びホームへ。地震直後に地下に潜る、というのは、万が一の火災の可能性も考えられるし、多くの状況は地上にいないと読みづらい。再び新宿駅の中央線ホームに上がって周囲を見ると、線路上の架線部分や信号機の柱がまだグラグラと揺れている。360度視界に見える電車は、ホームに入ろうとしていた車両も含めて、全てが停止状態。周囲の人もいったい何が起こったのだろうかという表情で顔を見合わせていると、やがてアナウンスが入り、関東地方で大きな地震が発生し、安全確保の為全ての車両を停止したとの知らせが。乗降客が居なくなった新宿駅のホーム上は地震発生直後、不思議な静寂に包まれた。揺れは程なく収まって、それほど混乱もない。落ち着いて、次は連絡。さて、大きな地震発生直後、携帯は普通に使えるのだろうか。
とりあえずは家族の安否確認ということで自宅や家族の携帯にかけてみるが、これが全く繋がらない。発信をしている様子はあるのだが、呼び出し音や話中音がするところまで到達しない。次はメール送信。何度かメール発信を試みるが、これもなかなかつながらない。au W21CA の Opera Browser によるサイト閲覧は、発生直後の5分くらいは(恐らく対応電話を持っている人が少ないせいか)使えたのだが、これも程なく使えなくなってしまった。
新宿駅という、限られた場所にかなりの数の携帯電話がひしめく地域だったせいもあるのかもしれないが、この状況は、地震発生直後の4時35分から、約30分程続いた。良く言葉は聞きながら体験したことが無かった、通信の輻輳状態、というのがこれなのだろう。
地震発生から30分以上過ぎてやっと、音声電話が繋がった。これで家族の無事が確認出来たのだが、より大きな地震で更に大きな混乱状況だったらどうなってしまったのだろう、と、災害時のコミュニケーションの核となるべき携帯電話網の信頼性に、やや疑問符がともってしまった出来事だった。新宿駅に発着する電車は、地震発生から30分過ぎても動く気配が無い。改札口付近では、電車運行の回復状況を尋ねる乗客が殺到、地震後の混乱も起き始めていた。
今回の地震発生で、八ヶ岳南麓天文台・地震前兆観測センターの串田氏は、今後の状況をどう見て居られるのだろう、とふと考えたのは当方だけではないのだろうが、EPIO のサイトが残念ながら閉鎖となってしまった今、もう Web 上でその最新情報を知る術は無い。多少の時期や規模のずれはありながらも、串田氏が大きな地震の前兆を実験の中で示唆された際には都度、この様に規模の大きな地震が発生している点は、やはり注目に値する。今後また、是非何らかの形で、EPIO の Web 上での発表が復活・継続される事を切に期待したい。