Canon のコンパクト・デジカメの新製品の購入をしばらく控えていた。機能面で競合他社、例えば Panasonic Lumix シリーズに差をつけられていて、興味が薄れていたのだ。遅れて登場した Canon の高機能機種がやっと、一昨日(4月14日)発売になった、
IXY Digital 800IS。人気の IXY Digital シリーズに漸く手ぶれ補正 (IS = Image Stabilizer)機能が追加されたのだ。
先に発売された Lumix FX01 と当然比較になる訳だが、Lumix FX01 の売りは 28mm 広角をカバーするズーム。当方は 28mm は単焦点コンパクトの GR Digital を所有している事もあり、他にも新しい機能を搭載した4倍ズーム IXY を購入する事に決めた。何よりその筐体デザインが美しい。手になじむ曲線と重みのある金属感。Lumix も高機能だが、軽さを追求した分、筐体に薄っぺらい印象がある。IXY の小さいながらもズシッと手に収まるこの感覚は、eGadget 好きに共鳴する不思議な魅力を備えている。今回は液晶周りの背面デザインを黒基調とした IXY だが、上・下から眺めると、ブラックの背面部分と、アイスブルーと呼ぶフロント部分、そして中間のシルバー色が複雑に交錯するデザイン。このまま MoMA に展示しても良い様な、芸術的に美しい Body に仕上がっている。外見が美しいこのカメラはしかし、内面となる機能部分にも手抜きが無い。
手 ぶれ補正機能は Canon らしくかちっと出来ている。夜景写真を今回は写す時間は無かったが、4倍ズーム望遠時の手ぶれが軽減されている点は感じる事が出来た。ユニークなのは、縦 方向の手ぶれ補正だけを効かせる事が出来るという、流し撮りモード。今度ツーリングにでも出掛ける事があれば試してみるとしよう。
自動で 最大 ISO 800 程度迄高感度にして手ぶれを防ぐ高感度オート機能も備わっているが、こちらは試したところ暗い場所でのノイズはそれなりに目立つ。せっかく光学手ぶれ補正 機能がついているので、そちらを十分働かせる為にはむしろ高感度オート機能は積極的に併用しなくても良いだろうと感じた。
デジタルマクロ 機能も面白い。2cm まで寄れる通常のマクロ機能でも十分なのに、デジタルマクロを組み合わせてさらに4倍迄拡大可能としている。ノイズは増えるが、最大 5.5mm x 7.5mm の範囲が 2.5 インチ液晶一杯に表示される機能は拡大レンズ的な楽しさで使える。
最後に、800IS の新機能で個人的に最も面白いと感じたのが、"SCN" スペシャル・シーン・モードの中にあるワンポイント・カラー機能と、スイッチカラー機能。Photoshop で加工した写真の様に、ワンポイントはある色だけを液晶画面上で指定して残し、他の色を全て白黒に変えて撮影する事が可能。指定した色のみが際立つ写真に 仕上がる。スイッチカラーでは、さらに指定した色を他の指定色に変える事が可能だ。作例は当方の Photo Album にて。スイッチカラーを活用すると、緑の春の風景を、紅葉の秋色に変える事も簡単に出来る。勿論、オリジナル・カラーの写真を同時に残す事も可能。
今後また、作例を増やして DIGIC II の能力を再検証するが、かなり良く出来たデジカメであることは、週末利用するだけでも理解する事が出来た。店頭でこの重量感と美しさに触れると、欲しくなる1台かもしれない。