全国ラーメン道マップ記載の店を見ていたら、西東京に「みんみん」というラーメン屋を見つけた。そういえば、立川に住んでいる頃良く通った「八王子ラーメン」の店があったのだが、その本家がここかもしれない。醤油味のシンプルなラーメンに、刻んだタマネギ、薄いバラチャーシュー。立川に住んでいた90年代の記憶とともに蘇る、懐かしい味。当方にとって、多摩地区で生活していた時代の「ソウル・フード」がこれだった。
天気の良い年末休みの午後、厚着で 125cc の愛馬に火を入れ、甲州街道をひたすら西へ。少しずつ陽が傾き、頬に当たる風の冷たさが増してくるが、一杯の麺を求めて、片道 50km の道のりを八王子を目指す。調布、府中、立川、日野と懐かしい街を通り過ぎ、八王子駅を過ぎて秋川街道へ右折。中央高速をくぐると左手に、ひなびた平屋の 店が現れた。到着する頃には手はかじかみ、身体は冷えきっている。
午後4時過ぎ、ちょうど狭間の時間で空いていた。暖かい畳の部屋に落ち着き、「バラチャーシュー・メンマ、大」を注文。数分で、新鮮なタマネギの刻み入りの八王子ラーメンが目の前に。そう、これこそが待ち望んでいた一杯。
冷えきった胃の中に、熱い醤油味スープを入れてみる。うーん、しみる。そして、タマネギもすくって一杯。シャキシャキ。新鮮だが、ツーンと鼻に来る事もない。薄切りチャーシューはあくまでやわらかく、麺も適度にちぢれて居り、細切りの長ネギとメンマが良い脇役となっている。
このラーメンの真骨頂はしかし、具と麺が無くなってから。残ったスープを刻みタマネギと、バラチャーシューの切れ端を探してはすくう。野菜と肉の旨味がしみこんだこのスープがまた、絶妙だ。
熱 いラーメンを楽しむと、すっかり陽は沈み、ライダーに襲いかかる向かい風は冷たさを増している。しかし、不思議と帰路は、往路ほど寒さを感じない。どうや ら八王子ラーメンが、芯から身体を暖めてくれた様だ。一杯のラーメンを楽しむ為だけの、スクーター・ツーリング。次はどこへ行こうか。