デジタル一眼レフは Nikon D300 + Tokina 35mm f2.8 の組み合わせをしばし好んで使っていたのだが、D300 ボディ Tokina 35mm レンズともに少しだけ大きいと感じていた。機能的には全く不満は無いのだが、フォームファクターとして「あとひとまわり小さければ」感があったのだ。Nikon D60 程のコンパクトさは求めないのだが、もうあと一歩小型化出来れば、持ち出し頻度がより高まるだろうと感じていたのだ。タイミング良く、Tokina レンズと同スペックの Pentax 35mm f2.8 Macro Limited レンズが3月半ば発売となった。"Limited" を冠するレンズ故高品質な仕上がり。そしてペンタックスの最近のデジタル専用レンズの例に漏れず、驚く程コンパクトな仕上がりなのである。価格.com の掲示板を見ても、同レンズの評判は上々の様だ。本レンズの良さを最大限引き出すには....と考えると、Pentax フラッグシップ機のK20D が最善なのだろうが、実はあまり注目していなかった。前機種の K10D のユーザーだったのだが、K20D では外観があまり変わらず、1460 万画素機となったもののマイナーチェンジだろう、と思い込んでいたのだ。しかし、調べる程に、K20D の機能は相当 K10D から機能がアップグレードされている事を理解した。悩んだ末、Nikon から Pentax にベース・プラットフォームを思い切って転換する事に。結果としては大満足。この組み合わせ、かなり理想に近い。テスト撮影した作例は、flickr のアルバムその1とその2(Oakland Athletics vs 巨人プレシーズンマッチ)にて。1460 万画素が生み出す、アナログカメラの様な豊かな色調感が嬉しい。
D300 は Body 重量 825g、K20D は 715gと 110g 程度しか変わらないのだが、なで肩で丸みを帯びた K20D 筐体のせいか、ホールドすると随分コンパクトになった様に実感される。35mm マクロ・レンズの方は、重量はわずか 215g、Tokina の同等レンズから比較し本当に小さくなった。ひんやりとしたメタルの質感が素晴らしく、フードをレンズ内部に格納出来る機構も秀逸で、よくもまあこの小型サイズに収めたものだと感心させられる。花が美しい季節、人気レンズとなりそうな予感がある。
K20D は、最近 HOYA に買収を受けた刺激か、デジタル一眼レフに賭けるペンタックス技術陣の魂がこめられた様な「作品」とも受け取れる意欲作。1460万画素の CMOS、手ぶれ補正機構の内蔵、防塵/防滴構造。これで Body 20万円以上もするなら驚かないが、その半分強の価格で買える中/上級機としてはコストパフォーマンスが著しく高い。各ボタンの操作感も Nikon D300 並みにカチッと出来て居り、全体に質感がハイグレード。
スイッチ・オンすると、K10D と同様ゴトゴトッと手ぶれ補正ユニットを揺らす音と感触が伝わるが、眠れる野獣が覚醒する様な雰囲気があって、一度この感触を知ってしまうと他機種のゴミ 落とし電源オン動作が多少物足りなく感じられる程。Canon 40D や Nikon D300 ではキーンという音はするものの、ゴミ落としの方法が電子的なのか殆ど機械的な筐体揺れは感じられない。人により好みは別れるかもしれないが、この「アナログな起き 方」が Pentax らしい個性と言えるのかもしれない。当方はかなり好みである。
デジタルらしい電子的機能を積極的にフロントの機能として露出させている点も、Pentax 技術陣のポリシーが感じられて嬉しい部分。K10D で採用された ISO 感度優先の Sv、マニュアル設定した絞り/シャッター速度に応じて ISO 感度を調整する TAv モード等は、アナログ時代の常識を大きく変える機能提案として、引き続き K20D でも搭載されている。そして今回はそれに加えて、秒間21コマの連写(その際、画像サイズは 1.6M Pixcel に限定される)を電子的に可能とする高速連写機能も付加された。早速 MLB のプレシーズンマッチの撮影で試したが、この機能はまだオマケ段階ではあるが中々面白い。もうすぐ発売となる Casio EX-F1 の1秒60コマにはコマ数も画素も及ばないが、普通に使うには十分実用的であり、かつ静止画撮影は 1460 万画素の本格一眼レフの内蔵機能なので、EX-F1 のスペックに少し躊躇を感じている方には検討の余地があるかもしれない。高速連写機能の詳細は、この次のエントリーにて。
まだ使い始めたばかりではあるが、K20D には独自の魅力が満ち溢れている。Nikon D300 や Canon EOS 40D の様な血筋の良い中・上級一眼レフとは異なる、職人気質で、表面は真面目ながら中身はひと味もふた味も濃い、何か野性的な情熱を感じるデジタル一眼レフなのである。
操作していて不思議と頬が緩むのは、このすさまじい情熱が生み出した高品質さの反映なのだろうか。K10D から少々遠回りしてしまったが、再び Pentax の旗艦たる K20D に帰着した。本日現在、当方が所有するデジタル一眼レフは、これにより K20D のみ、となった。野球観戦を御一緒した高山さんも、本デジイチにかなり注目されている御様子。詳細は高山さんのブログにて。