「銀座のオヤジの楽園、レモン社?」活動の中心を山手線より西に置く当方は、その店名すら40数年知らなかった。しかし、それなら必ず行った方が良い、と強力に勧める友人多数だったので、GW 連休前半の午後、訪れてみた。8階にレモン社が入居するビル前は、何度も通った場所だった。数寄屋橋交差点から、プランタンに向かう途中の外堀通り沿い。しかしこの店の存在に気付かなかった理由は現場に行くと良くわかった。殆どのフロアがキリスト教教会のビルだったのである。この上に趣味系店舗があるとは、意外と言う外ない。
どう見ても店舗が入居している雰囲気ではない、厳かに落ち着いたビル入口だが、黄色の「レモン社」の看板だけが、ショップの存在をアピールしている。エレ ベーターで8階に到着すると、しかし雰囲気が一変する。クラシックカメラの群れが収まったショウケースが、いきなり眼前に広がるのである。銀座のオヤジの 為のオアシスは、ひっそりとその存在を隠しているかに見える。
店舗内を歩いてみる。その規模は、当方がしばしば訪れる中野フジヤカメラ本 店の1・2階フロアを合わせた広さを上回る。中古カメラ中心の展示ではあるが、その他に中古万年筆や時計等もあるので、ショウケースの数も多い。デジタルカメ ラ系の展示はかなり限られているが、Leica 他クラシックカメラの展示数は充実している。その筋のコレクターなら垂涎ものの奇麗な中古カメラやレンズがぎっしり収められたガラスショウケースが、静か に光を放っている。オヤジなお客さん達も、一人で来ている人が多く、無言で静かに商品を値踏みしている。
入口の対角線上にあるコーナーに は、自動販売機を備えた小規模なカフェ・スペースが。カフェ外窓からは、マリオンや高速道路等、有楽町駅周辺のパノラマも楽しめる。カフェの椅子に座っ て、東京風景を楽しみつつ、中古カメラ談義にどっぷり浸れる、という導線なのである。中野フジヤカメラでは2階の喫茶店ルノワールがその役割を果たしてい るが、店舗内にこういうスペースがあるのはユニークで、眺望も文句無い。
Contax G1 の中古良品が有り、かなり迷ったが、とりあえず今回は初来訪という事でフジヤカメラに置いてなさそうなモノを物色する事に。結局、中古でなく新品だが、 Lomography の魚眼撮影専門アナログコンパクト・トイカメラの fisheye2 と、一眼レフ型の精巧なミニチュアがあしらわれた携帯ストラップを購入。(ちなみに、fisheye2 で撮影できる円周魚眼写真は結構面白い。flickr の fisheye2 タグ写真ページ御参照。メーカーサイトはこちらに。最近は白ボディも出た様だが、シルバーのメタリックレンズを引き立たせるには黒ボディの方が良さそ う。)
通い慣れた中野フジヤカメラと比較すると、最近デジカメに完全シフトしつつある当方にとってはレモン社の中古カメラ在庫はクラシッ クカメラ中心で、実際に購入意欲が湧く中古品は限られるものの、お宝が一杯詰まった展示棚を眺めているだけで無限の時間が流れてしまいそうな、そんな銀座 中空の秘密基地。今後も時々寄ってみたい。