世界の中古カメラフェアに出掛ける前に、使用頻度の低い中古カメラを処分しようと中野の F 店へ。ただ売却するだけのつもりだったが、査定の間にショウケースを見回っていると、Contax T2 チタンの新同(A クラス)品を発見してしまった。ケース付きはこれ以外にもプラチナカラーやゴールドがあるが、いずれも AB / AB+ の良品。新同品はチタンだけである。見せてもらうと確かに使用形跡が無い。しかも2万円台半ば。発売時は定価12万円だった商品が、未使用品のまま、ほぼ5分の1の価格になっているのである。査定が終了すると、5千円ほどの差額で購入出来る事がわかり、早速入手。(追記:ポジフィルムの Velvia 50 で撮影した昨日の作例はこちらの flickr からどうぞ。)
説明書やストラップ類も開封形跡が無く、まさに極上品であった。これを12万円で購入したらキズを付けない様にかなり丁寧な扱いが要求されるが、2万円台なら気軽に散歩カメラとして持ち出せる。 先に購入した Contax Tvs より前の1990年、今から18年前に発売された製品だが、保存状態が良かったのか全く古さを感じさせない。Tvs との違いは、単焦点で明るいレンズであること。38mm f2.8 の、Carl Zeiss T* Sonnar レンズが装着されている。
後継機の T3 ではレンズがより広角な 35mm となり、最短撮影距離がさらに短く、筐体もよりコンパクトになっている。しかし、価格も新同品で3倍程度になってしまうので、とりあえず T2 から始める事にした。
375g のTvs と比較して、T2 はかなり軽量な 295g。携行性はより高まる。スナップカメラとしても、スイッチオンから撮影可能になる迄が迅速。右上のメインスイッチをオンにすると、素早く内蔵レンズバリアがスライドし、沈胴レンズがにょきっと現れる。Tvs ではレンズ蓋を外して、ズームレバー兼用のスイッチをオンにして、と二段階必要なので、速写性なら T2 に軍配が上がる。 露出補正ボタンも、T2 ではアナログ・ダイヤル表示が背面に現れ、デジタル表示の Tvs よりもむしろ使い易い様に思われた。
T2 は T3 が2001年に登場する迄10年以上のロングセラー・カメラだったとの事だが、各部の使い勝手の良さからその理由もわかる気がする。 ひんやりとするチタンボディに触れていると、T2 を連れてふらりと旅に出たくなる。美しい風景と出会う為の、美しく俊敏な、アナログ・コンパクトカメラを手に入れる事が出来た。