週末、副都心線開業の様子を見に行ったのだが、新宿三丁目の Disney Land アトラクション並の混雑で改札をくぐる事すら叶わなかった。仕方無くその帰りに量販店に寄るまで、実は本機、CyberShot DSC-W300 の存在すら知らなかった。最近は各社からコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)新機種が続々登場しているが、さすがの当方も全モデルにキャッチアップ出来ていなかったのだ。
チタンコート・ステンレスボディの頑強な筐体に惹かれ、店頭の限られた空間で試写してみると、背面液晶に現れる撮影画像の発色が驚く程良い。Bravia の Sony 故に LCD の出来がいいのだろうな、と思ったのだが、どうやらそれだけでは無さそうだ。Vario-Tessar Carl Zeiss レンズ、1/1.7 インチと大きめサイズの Super HAD CCD、CLEAR RAW NR と Sony が名付けた、RAW 段階でのノイズリダクションを行う仕組み等が複合的に響き合い、美しい画像生成に繋がっている様だ。カードサイズ・コンデジではこれまで、解像度、発色への不満や夜間撮影ノイズ、小型サイズ故の手ぶれに悩まされる事が多く、いつも1軍カメラとしては長続きしなかったのだが、W300 は強力新人の気配が濃厚。店頭入団テストに無事合格、早速の試写結果はこちらの flickr アルバム御参照。難しい光量下でのシャッターチャンスに、ルーキーらしからぬ、玄人好みする Shot の数々を決めている。
夜のとばりがおりた新宿西口駅前でのテスト撮影。背景のイルミネーションやショウウィンドー、前景の蛍光灯や白熱灯/スポットライトが複雑な光線条件を作 り上げているが、W300はそういう条件を楽しむかの様にクリアしている(尺八ストリートミュージシャンの写真御参照)。ノイズリダクション機能は実用的に使えそうだ。IXY Digital シリーズの様に、小さいながらもちゃんとズームに連動する光学ファインダーを備えている点も見逃せない。暗いシーンでは、おでこと両手で3点保持する事 で、更なるブレ軽減を達成する事が可能となる。
スマイルシャッターについては、モードダイヤルにスマイルマークの専用モードが追加され、物理ボタン操作で容易にスマイルモードに転換出来る様になった。人物撮影の時にしか使わない機能なので、メニューを複雑に操作する事無く、ダイヤルから即座に機能選択出来るのは有り難い。
300万画素と画素数は小さくなるが、5コマ / 秒と高級一眼レフカメラ並の速度の連写が可能というのも面白い。まだあまり使っていない機能だが、動きが速い動物/昆虫の撮影や、運動会などでは重宝するに違いない。
細かいところでは、マクロ撮影を行う際に、特別ボタン等を押さずとも、レンズ前 5cm からのマクロモードが自動で使える機能もユーザー本位な設計と言える。ひとつ動作が減るだけでも、随分と使い易くなるから不思議である。
D レンジも拡大され、白い花のトーンなどがより良く表現される様になった。flickr 作例でも確認して頂度いポイントの一つだ。
一 足先に flickr 作例を Twitter 仲間に公開したら、「コンパクトデジカメで撮ったと言われなきゃ、わからないレベル。」という評価も。確かに、1360万画素ともなると、相当大きく拡大 しない限りはコンピュータ画面上では違いがわかりにくい程、かもしれない。W300 で撮影する画像クオリティは、これまでのカードサイズ・コンデジの枠を超え始めている。
本体機能や撮影画像品質等が中心のレビューとなっ たが、本カメラで目を引く一番のポイントはそのデザインの美しさ。構成素材が発する金属の輝き(詳しくは Sony カタログページの説明御参照)が、これまでのデジカメとは一線を画す様な光沢なのである。 こればかりは、残念ながら当方の写真技術では表現しきれなかった。カメラ店店頭で是非じっくり見て、触って頂きたいスーパー・コンデジだ。2008年夏旅 の友はこれに決定。