デジタル一眼レフの使い方として、街中スナップ主体の当方としてはライブビュー性能も結構重要だ。意図せず現れる被写体には、コンパクトデジタルカメラの様に液晶画面で撮影出来るというのは大変便利。各社デジイチを利用する中でライブビュー機能はそれぞれ試して来たのだが、実は満足出来るものは一つも無かった。一番最近利用していた Olympus E-420 あたりはかなり良くなってはいるのだが、フォーカシングスピードがファインダー越しに行う場合と比較して極端に遅くなってしまうのである。コントラスト AF 性能は年々一眼レフでも上がって来ているが、コンデジ並みのスピードにはほど遠い、という状況だったのだ。しかし Sony の中級機 α350、そして最近登場したα300 (1000万画素の兄弟機)は違っていた。ライブビューのフォーカス速度が、群を抜いて速いのである。
ライブビュー専用のイメージセンサーを、通常の AF センサーとは別に内蔵し、 物理ボタンで瞬時にそれを切り替える事が出来る為、このスピードが発揮されている。実際に使ってみると、これまで利用したどのデジイチよりもライブビュー が「使い物になる」事が実感出来る。他機種ではコントラスト AF のピントの山を見つけるためにしばらく前後にピントを動かしてみたり、ライブビュー時にはミラーの上げ下げを頻繁に行って動作音がうるさかったりするのだが、 α 300 / 350 のライブビューは静粛で、高速だ。全く異なる発想でカメラが設計されている、という事が、実際に触れてみると良くわかる。
コンデジの使い勝手に慣れたユーザー向けの便利機能は、ライブビュー以外にも、物理ボタンが右手上に設定されたスマートテレコンバーター機能がある。一押しで、1.4 倍、2倍に画像をデジタル的にズームアップする事が可能。コンデジではよくある機能だが、専用ボタンを設けた事で使い勝手が向上。画像サイズそのものを変える為に、デジタルテレコンでも画面が荒れる事は無い。α350なら、分母としては 1420万画素の豊富な画素数を使えるので、一部切り出しでも十分実用になり、手持ちズームレンズの焦点距離を簡易的に2倍相当にしてしまえる。レンズを多数持ち歩きたく ない腰痛持ちには嬉しい機能。
もうひとつ面白いのは、液晶画面を自由に動かせる事。クラシックカメラの様に上から眺めるアングルや、群衆の上にカメラを上げて遠くを撮影する様な場合に非常に便利。
これら本体機能に加え、レンズラインナップも魅力的。Sony と縁が深い、Carl Zeiss 社技術提供による T* コーティング・レンズを利用出来るのである。中でも、フルサイズ・カメラ換算 24mm - 120mm 相当になる DT 16-80mm f3.5-4.5 ZA レンズは小型/軽量(445g) でどこにでも持って行きたくなるサイズと重量。手ぶれ補正機能はボディ側にあるので、Panasonic の Leica ズーム・レンズ等と比較して、ひとまわり小振りに出来ているのである。16mm - 80mm レンズは人気があるのか、最近欠品している店が多かったのだが、秋葉原のヨドバシでとうとう在庫を発見、それによりα350 も購入決定。装着フィルターも T* コーティングの純正品を購入。
本日は夕立もあってまだテスト撮影を十分行えていないので、今週〜来週にかけて本機の実力をじっくりと試してみる事としましょう。