かつての同僚から借りたレンズその2、がこの、ズマロン 35mm f3.5(レンズ詳細は「ライカを買おう」ブログにて)。1954年製造と50歳を超えた所だが、非常に精巧な造りで、光学機器としての魅力たっぷりなチョイワルオヤジレンズ、である。ちょびひげの様なフォーカスリング・レバーがレンズ外周部分に備わっているが、この造りがまた緻密。レンズ各部を眺めているだけでもシングルモルトを片手に語り合える様な、痺れるレトロ・レンズだ。これまで試した4本と比較し設計が一番古いレンズなのに、このレンズから発せられるオーラがいかに強い事か。借りたレンズなのについつい返したくなくなってしまう様な、コレクター心をくすぐる不思議なレンズである。実際に撮影してみると、f3.5 と決して開放 f 値は明るく無いレンズながら背景ボケもそれなりに楽しむ事が出来、独特の描写感がある。作例はこちらの flickr アルバムにて。(スライドショーは、こちらからどうぞ。)
最近気に入っている富ヶ谷交差点近くの人気うどん店「やしま」への行き帰りで作例撮影を行ってみたが、明るい屋外だけでなく、やや暗い店内でも大きな手ぶれ無く撮影出来るのには驚いた(ちなみに Panasonic Lumix G1 本体には手ぶれ補正機能は無い)。
小径レンズだが、手のひらに乗せるとズシリと凝縮された重みがある。最近の一眼レフのプラスチッキーなレンズでは味わえぬ、ひんやりとした感触だ。ちょびひげのフォーカスレバーも、使ってみると実に手に馴染む。ライカレンズではボウタイの様な二つのツノ型のフォーカスレバーを備えたものも多いが、丸みを帯び、すべらない様に刻みを入れたデザインのレバーは実用的で使い易い。こうしたアナログな UI デザインは、むしろデジタルとは無縁だった時代の方が優れていたのかもしれない。
レンズ沼最終案内人たる旧・現同僚から短期間に4本もの、それぞれに個性的で描写力に優れたレンズを借りる事が出来たので、ライカ M マウントレンズ沼の深さが良く理解出来た気がする。Carl Zeiss Biogon 21mm f2.8 の次の一本を求めての明日からの中古カメラ店回り、更なる至高のレンズを求めて期待は高まるばかりなり。