新宿のカメラ店 M 地下一階で見たその光景は、衝撃だった。マイクロフォーサーズ規格デジイチ第一号の Panasonic Lumix G1 に、なにやら超小型レンズがくっついている。Leica, Carl Zeiss, Voigtlander 等世界有数のレンズメーカーがレンジファインダーカメラ用に高性能小型レンズを提供する、Leica M マウント。そのレンズのひとつ Leica Elmar が、Lumix G1 にピタリとセットされている。夢に迄見たマイクロフォーサーズ (ボディ側)- ライカ M (レンズ側)対応マウントアダプターが、Hansa 社より発売されたのだ。早速在庫豊富な中野 F カメラにてアダプターを購入。さて次はレンズ選びだが、M マウントレンズ購入は初めてなので、まずはネット上で作例検索。
年末から年始にかけて、Lumix G1 - M マウントレンズの組み合わせを利用開始したユーザーが多く、ネット上の情報は予想外に充実している。Lumix G1 側のセッティングも、モードダイヤルで絞り優先モード(A) に設定、左肩の小ダイヤルで MF (マニュアルフォーカス)を選び、後はメニュー画面からカスタムメニュー内の「レンズ無しレリーズ」をON にするだけ、と簡単である事がわかった。
G1 を最初に購入した際には気付かなかったのだが、マイクロフォーサーズ規格ではレンズのマウント面から撮像素子までの距離(フランジバック)が非常に短い為、これまでは難しかった Leica M, Canon FD といったレンズでもアダプターを介して利用可能になった、との事。M マウントレンズの携行し易そうなコンパクトさに惹かれながらも、 M8 や R-D1 等対応デジカメの数が限られていたので試すチャンスも無かったのだが、遂にその機会が訪れた。
ネットや本で基本情報は揃えたものの、個人的には Contax G1/G2 で慣れ親しんだ、Carl Zeiss Biogon レンズを手に入れたい。とりあずはテストということで、21mm, 28mm それぞれの Biogon と、50mm のPlanar を、カメラ店でお願いし、アダプターを取り付けた G1 に試着してみる。
Micro Four Thirds では、焦点距離はフルサイズ換算2倍になる。最初は価格もこなれている Planar が良いかと思っていたのだが、換算 100mm となると最初の一本には厳しい。そこで広角系を装着して標準レンズとして利用する作戦に。Biogon 21mm f2.8 なら換算 42mm と少し画角広めで、Live View 越しに見える画像も美しかった為、こちらに最終決定。その後、Voigtlander Nokton 40mm f1.4 の中古も廉価な良品を発見。実質80mm の中望遠としては、小型な Nokton を利用してみる事に。
あまり時間は無かったのだが、新宿、中野で手軽なスナップ試写を実施。Lumix G1 + Biogon 21mm f2.8 での作例は、こちらの flickr アルバムにて。(スライドショーは、こちらからどうぞ。)
Panasonic Lumix G1 ではマニュアルフォーカス時に画面の一部を十字キーで場所指定して拡大、ピントをつかみ易くする機能もついている為、微妙なピント合わせまで可能となり、なかなか便利。 Live View Finder でも、背面液晶でも、この画面拡大フォーカシングが使える為、ファインダーを覗きながらでも全てのフォーカス操作を行えてしまう。シャッター速度は実絞りに連動して自動設定されるが、G1 の場合は露出の +/- 補正をグリップ前のダイヤルで操作出来るので、ファインダー内で実画像を見ながら露出の加減も自由に行える。レンズ側で絞りリングを操作すると、実絞りもリアルタイムに動くので、被写界深度の変化もリアルタイムに液晶/Live View 画面上で確認出来る点も面白い。
カメラ設計時に意図していなければ、マニュアル操作でのこうした使い勝手の良さは生まれないだろう。Panasonic 技術陣の深慮遠謀を垣間見た気がする。
普段はフォーサーズ(Panasonic 製のフォーサーズアダプターを利用)、マイクロフォーサーズ専用レンズで G1 を気軽に利用し、ここぞという時には M マウントレンズを装着して創作写真世界に没入する。そういう使い分けが可能な Lumix G1 + Hansa アダプターの組み合わせはかなりマニアックであるが面白さ十分。中古屋の M マウントレンズ棚が、カメラ店徘徊ルートに追加されたのでありました。
(追記:G1 + M マウントブームの火付け役、中村文夫氏がデジカメ Watch で日本カメラ1月号同様の特集記事をリリースしたので、こちらも御参照。記事中、モード設定を A (絞り優先)から P (プログラム)にすると、露出補正のミスが無くなるという記載が。A モードで時々失敗があったので、これは実用知識で非常に参考になる。ファームアップでピント確認タイマーが無くなる点も重要。ライカズミクロン M 35mm f2 作例もかなり good。via @jseita 「Lumix DMC-G1 で楽しむマウントアダプター(ライカ M マウント編) 」)