Vaio Type P に対するそれは、恋では無く、愛なのだと思った。製品発表の Web 記事を見ているだけで、エモーショナルに欲しくなるコンピューター製品というのは非常に限られている。最近では Apple 社の新製品位でしかそういう感覚を覚える事はなかったのだが、Type P には眼が釘付けになってしまった。気がつくと Vaio Owner Made というカスタマイズサービスで、1.86 GHz の Atom CPU、64GB SSD、L バッテリー、Motion Eye, Bluetooth、そしてワンセグ TV は無し、でぽちりと注文してしまっていた。Owner Made なら3年製品保証が付くので、十分に Type P への愛情を確かめる事が出来る。店頭発売から2日過ぎた本日、SonyStyle から無事届いたので、モバイル環境での使い勝手を確かめる為に新宿の喫茶店に立ち寄り実地レビューを行う事に。
HP mini 1000 等、5万円前後の NetBook からはひとつ上のクラスのこのカテゴリでは、富士通 Loox U を所有していた。Loox U も小型ながらタッチパネル回転液晶の採用やフル電子辞書内蔵など先鋭的な製品だが、Type P と比べるとキーボードがやや小さい。Type P の最大の売りは、その開発思想の通りこの打鍵し易いキーボードにある。当方は結局 Type P 一台にモバイルパソコンを集約してしまったが、その最大の理由はこのキーボードだ。こうして喫茶店で入力していても、殆どタイプミスが無い。そして太めの当方の指先でも、無理にすぼめる事無くタイプ出来るというのは、このクラスでは無かった事だ。キーボードの感触は、硬すぎず、やわらか過ぎず、絶妙のセッティングで、タイプを続けていて指先が喜んでいるのがわかる。
購入前に最も心配したのは、変則的な液晶サイズ(1600 x 768 ドット)により、老眼が始まった当方の眼には文字を読むのがつらいのでは、という点。しかし、ブラウザ立ち上げ中、Fn キー+F10キーの組み合わせでフォントを素早く大きく出来るので、実は殆ど問題が無いということがわかった。ワードパッド等軽いアプリを使う時でも同様の操作で文字拡大が出来る。これがわかると軽やかに Type P を乗りこなす事が可能。まあ、デジイチの様に視度補正機能が備わっている訳である。
次に心配したのは Windows Vista がどの程度使えるか、という点。Loox U では CPU スピードが少し遅く 1GB しかメモリが無かったせいか、ややもっさりした OS 使用感だった(その後 XP 版が発売になり、解消されたと思うが) 。Type P でも、たくさんアプリを同時に立ち上げると描画したウィンドウの一部が残像の様に残る事は時々あるものの、想像より気にならないレベル。カスタムモデルの速い CPU と SSD、そして 2GB メモリの恩恵もあるのかもしれないが。
使い込む程に、これならいつも一緒に居られる、そういうガジェット愛がふつふつと湧き上がる感じがあるのだ。
中央のジョイスティックの様なポインタは、デフォルトではスティック上部を軽く押すだけで左クリックと同じ働きをするが、これはやや操作ミスを生み易いので、コントロールパネル→マウス→スティックタブ→設定、から、プレスセレクトを解除すると普通のジョイスティックとして利用しやすくなる。IBM ThinkPad に慣れていると、このスティックは意外に使い勝手は悪く無い。
Emobile による 7.2Mbps の通信をつけっぱなしにしてこのエントリーを書いているが、省電力設定もせず普通の状態で4時間半の電池持ち表示から始まって、今見てもまだ3時間46分持つという表示。L バッテリーのおかげだが、これくらい持つとあまり電池の心配無くコンピューター作業が出来る。店頭で購入するとスタンダードバッテリがついてくるが、当方としてはやや重量が増えて厚みが1cm ほど増しても、1本で殆どの用事が済んでしまう L バッテリを Owner Made でつける事をおすすめしたい。これなら通常の使い方であれば一日1本で済み、予備バッテリも不要だ。バッテリの厚みで適度なキーボードの傾斜が付き、これがまたキーボードの打鍵感向上に一役買っている。
初めて Type P に触れた時には、ヒンジ部分がやわらかく、その耐久性が心配になったが、使い込むと杞憂であると知った。Type P は小型なので眼から液晶迄の距離が近く、実用的に使うには液晶画面を限界一杯(150度ほどの開度)まで開けて使う事になるのだ。初期の Vaio の様に180度近く開いてヘナヘナ、となる前にストッパーがあるのでヒンジの問題も大丈夫そうである。
それにしても正直、コンセントも無い普通の喫茶店内でここまでゆるゆると気軽に使い続けられるモバイルパソコンには、出会った事が無かった。これまでの Netbook ではネット接続しながら利用すると、コーヒーを1~2杯も飲むと電池が終わりになったものだが、Type P はまだ余裕で3時間半以上持つとのたまって居る。仕方なく今度はハイボールを飲みながらのブログ作業に.....(続く)