2005年に格安で新古品を確保した Contax Tvs Digital をうっかり手放してしまい、昨日の世界の中古カメラ市で運良く未開封新品に再会。本日ブラブラと散歩しながら作例を追加してみた。こちらの flickr アルバムにて、その実力を確認頂き度い。(スライドショーは、こちらでどうぞ。)
2009年の最新コンパクトデジカメは、どれを買っても小さく、軽く、高速だ。最近は動画機能や防水機能等の付加価値を競っているが、どれを使っても「普通にカンタンに撮れる」様になってしまった。Contax Tvs Digital は、その様なお手軽デジカメの対極にある。
コンデジにしては大きく、重く、動作も遅い。今時、スイッチを入れてからレンズが伸び、撮影可能となる迄5秒もかかるデジカメは見当たらない。SD カードへの撮影画像書き込みも、ファインモードにすると1枚当たり4−5秒はかかる。液晶は 1.6 インチと超小型で、撮影画像の確認も詳細には出来ない。CCD も最新デジカメが 1000 - 1400 万画素に近づく中で、500 万画素しかない低解像度だ。
こうした不具合にもかかわらず Tvs Digital が魅力を放ち続けている理由は、Carl Zeiss Vario Sonnar 35-105mm f2.8-3.8 T* レンズが作り出す画像の面白さ、にある。撮影時に苦労はあっても、Carl Zeiss T* コーティングのレンズらしい、コントラストの高い、シャープな撮影画像に仕上がっている。
35mm 広角端は f2.8 と比較的明るい為、夜間撮影でも必要な明るさを確保出来ている様子が、作例からおわかり頂けるはず。多少露出補正(-0.7 程度)を加えるだけで、光の濃淡が強烈な写真が出来上がる。
実際の撮影は、ズームと連動する光学ファインダーで行う事が多く、写真の仕上がり具合確認は家に帰って Mac にデータを移してから、となる。このプロセスは、アナログフィルムでの撮影に近いかもしれない。予想してもいない様な成功があったり、数枚はピントを外す失敗があったり、今のお手軽コンデジでは味わえない喜怒哀楽を楽しめる。
Contax Tvs Digital は、2003年登場でまだ6年程しか経っていないカメラだが、「クラシック・デジカメ」と呼ぶに相応しい品格と内容を備えている。また出会えて、本当に良かった。