Nikon というカメラ、レンズのブランドには(某プロ・カメラマンからの影響大(笑)なのだが)強い信頼感を寄せている。しかし、結果的に長期所有するデジイチとなっていないのは、D3 や D700 の様な高品質・重量級フラッグシップ機を、腰痛癖もあり入手が個人的理由で難しい事、あまりに王道過ぎてやや敬遠してしまうへそ曲がりなところがあったかもしれない。Olympus, Pentax, Panasonic 等、シェアが限定的ながらも日夜デジイチ筐体の小型化努力を惜しまない、どうしてもそういうカメラ・メーカーに目が向きがちであった。しかし、思い起こせば D40、D60 と使って来た、小型・軽量なエントリー機種は Nikon にも存在する。何が欠けていたのか、とつらつら考えていて、当方はNikon エントリー機にはいつも、アナログ・パンケーキ・レンズを組み合わせていたのだ、と思い当たった。軽く小さく、そしてシャープな描写。Nikkor 45mm f2.8P や Ultron 40mm f2.0 は、D40 や D60 にマッチする、秀逸な単焦点コンパクト・レンズだった。しかしいずれもフォーカシングはマニュアル操作。咄嗟の風景に出会うスナップ撮影ではやや使いづらい面もあり、いつしか利用頻度は減少...そんな時、突然 Nikon から発表された新単焦点レンズがこの、AF-S DX NIKKOR 35mm f1.8G。先ほど手に入れたばかりで殆ど撮影していないが、少し試写した作例の flickr アルバムはこちらにて。(追記:その後、作例写真追加しました。スライドショーは、こちらからどうぞ。)
本レンズは、パンケーキ・レンズの様に薄くは無かったが、その代わりに f1.8 の明るさと 200g という軽さで登場してくれた。超音波モーターの静粛性も大きなアピールポイントだ。殆ど機械音もせずススッとピントが決まる状況はやはり嬉しい。最近は Panasonic Lumix G1 とライカマウントレンズでマニュアルフォーカス世界にどっぷり浸かって居た為、超音波フォーカシングの未来感は肌身に染みる様だ。アナログな焦点合わせも楽しいものだが、スナップ撮影では有り難い全自動フォーカス劇場が、D60 + DX 35mm f1.8 では楽しめる。
本レンズは、f1.8 らしい薄い被写界深度も身上。f1.2 - f1.4 のより高価で明るいレンズ程、極薄では無く、絞り開放時のフォーカス範囲が扱い易い。デジイチらしいボケを、より手軽に味わえる。量販店店頭で試写して、その実力を確かめる事が出来た為、本日購入に踏み切った次第。
D60 に装着すると、ややグラマラスな外見にも見える本レンズだが、バランスは悪くない。プラスチック外装も凝った塗装を施している為、チープな感じはしない。D60 の質感と、統一感も高いのである。
最近は各メーカーから、本レンズの様にデジタル時代に即した標準レンズと呼ぶべき、廉価で優秀な単焦点レンズが登場し始めた。各社エントリー機のレンズキットには、フルサイズ換算 28-70mm 程度のズームが同梱される事が多いが、本レンズの様に秀逸な単焦点レンズは是非、追加発売のレンズキットとして、より多くのユーザーの手に渡る様にして頂き度いものである。単焦点レンズらしい画像のシャープさ、絞り開放値の明るさ、コンパクトさが見直されつつある、と思うので。