待望の Olympus E-P1 が発売となった。予約していたツインレンズキットを入手し、早速の試写。Olympus 初の m4/3 レンズ2本は、m.Zuiko Digital 17mm f2.8 (当方 flickr 作例はこちらに)、14-42mm f3.5-5.6 (同様に作例はこちらに)それぞれ出来が良く、コントラスト AF も実用的に使える。特に気に入ったのは 17mm のパンケーキレンズの方。f2.8 の明るさで夜景撮影も得意だ。14-42mm の沈胴ギミックも面白いが、E-P1 の素性であるスナップカメラらしさは、17mm レンズとの組み合わせで発揮される事になるだろう。どちらかレンズを一本だけ、と考えて居られる方は、17mm の方が、単焦点なので決して全ての撮影用途に合うとは言えないが、趣味人カメラ的にはおすすめである。
ただ、純正の外付け View Finder はやや大型で、初回キットには無料で付いて来るので普通はそれを使う事になるのだが、出来れば他社製でより小型の、35mm 焦点距離対応ファインダー装着をおすすめしたい。当方は Canon 製のクラシックなファインダーを利用している。
さてここから本題だが、Panasonic GH1 同様に E-P1 は Leica - マイクロフォーサーズアダプターを経由して、Leica M マウントレンズ三昧のプラットフォームとして活躍する事になる。最初に試すレンズは、6月末にコシナから発売された、Voightlander Nokton 50mm f1.1 レンズ。コンデジサイズの E-P1 に装着すると相当大型に見えてしまうが、実際には通常の標準 50mm レンズサイズである。f1.1 の明るさによる被写界深度の薄さやいかに。本日の作例はこちらの flickr set にて。(スライドショーはこちらからどうぞ。)
Leica M マウントレンズを使う為に必要な E-P1 側での準備としては、Panasonic GH1 と異なり「レンズ無しレリーズ」を OK にする必要等は無い。まずは、MF (マニュアルフォーカス)への切り換え。普通にメニュー経由でも良いが、"Fn" のファンクションボタンの機能割りを MF - AF 切り換え専用に設定すると AF レンズも合わせて利用する際には切り換えが迅速になるので良いだろう。左肩ダイヤルを絞り優先撮影の A モードに設定すれば即撮影可能となる。
そして、背面下部の "INFO" ボタンを数回押して、緑色のフォーカス枠が画面上に現れると準備完了。被写体を背面液晶でフレーミングし、緑色の枠を4方向キーでピントを合わせたい場所に移動。OK ボタンを押すと緑枠部分がまず7倍に拡大され、焦点合わせが楽に行える。更に4方向キー周囲のダイヤルを回すと、10倍拡大表示にする事も可能だ。焦点が合ったら、そのままシャッターを押して撮影しても良し、OK ボタンを押して元の表示に戻しても良し。ただし、Nokton 50mm f1.1 の様に被写界深度がミリ単位で変わる繊細なレンズを使っている場合は、元の表示に戻すとその後のカメラの前後移動で微妙にフォーカスがズレる事も多く、注意が必要だ。
個人的には、Fn ボタンひと押しで、どの情報表示画面からでも、即 MF 拡大モードに入ってくれる設定があると、スナップ時には嬉しいと感じた。現在の設定では「拡大枠表示画面」という MF 専用の液晶表示画面に行かないと拡大してのピント合わせが出来ないので、やや冗長なところがある。このあたりは、次回の Firmware Update に期待したいところだ。
さて、肝心の Nokton 50mm f1.1 の使用感だが、さすがにボディ重量より重いレンズヘビーで、装着しストラップを持ち上げると、カメラは下45度を向くという塩梅。しかし大柄なレンズは左手でしっかりとレンズをホールドする為、むしろ全体のホールド感が高まる、というメリットもある。
マニュアルフォーカスを試すと、正直なかなか E-P1 では扱いが大変な部分も。1m 近い近距離撮影の場合は前述したミリ単位のピント合わせになるので、画面拡大後カメラの前後移動に気をつけないとピントがずれる。この場合は、液晶表示を戻さず、拡大表示でピントが合った状態で即シャッター押し下げ、の方が良さそうだ。ひとつ気になったのは、無限遠側の合焦ポイントが、リングを目一杯回して横8マーク(無限遠)にあわせたところより、実際にはちょっと手前あたりにある様子が画面で確認される事。かなり遠くの被写体でも、無限遠ポイントのズレがあった。これはアダプターの問題なのかもしれないし、絞りを F5.6 以上にして余裕を持たせると直るので、そういう味付けなのかもしれないが、かなり気になる部分ではある。
以上の通り、取り扱いがラクチンな Olympus 純正 AF レンズと比較すると、近距離も遠距離もフォーカシングにかなり神経を使う重いレンズなのだが、f1.1 の明るさの前ではそうした各種欠点がが許されてしまう。これまでは難しかった、日暮れ後の公園にいる近隣の猫も、しっかり撮影出来てしまうのだ。
m4/3 換算 100mm の中望遠レンズになるので、今後はポートレート撮影等でも活用してみたいが、扱いが難しい故に使いこなしに真剣さが増す、練習を積みたい、そういうレンズである。軽量級 E-P1 との組み合わせで、レンズ重量は相殺され、仕上がりのシステムとしては重過ぎない点もポイント。Leica Noctilux 50mm f0.95 や f1.0 はちょっと高くて手が出ないが、f1.0 近い明るさの M マウントレンズを是非試してみたい、そういう挑戦者におすすめしたい組み合わせだ。