11月半ば、RICOH の銀座ショウルームで GXR に初めて対面(その際のファーストレビューは、こちらのエントリーを御参照)したのはもう2ヶ月前の事。その後12月に予定通り発売され、カメラ店店頭で何度も手に取って試用した本機だが、購入決断には2ヶ月を要した。きっかけは最近になって Panasonic GF1 + 20mm パンケーキレンズを手放した事。これにより、GXR と競合するカメラが手元に無くなった為、晴れて導入する運びとなった次第。2種類あるレンズから、各所で評判の良い APS-C サイズ受光素子を備えた 50mm f2.5 カメラユニットを選択。本日試写したサンプルは、こちらの flickr set 御参照。(スライドショーは、こちらからどうぞ。)兎に角軽快で、スナップ専用機には最適の重量感とシャッター感覚。ショウルームで気になった AF の遅さも、マクロ領域や暗所での撮影以外では、それなりに使える、という事で納得。堅牢なマグネシウムボディと精密なスライド・メカ二ズムは、使う程に手に馴染む。
ここ最近、GR Digital III を手に外出する機会が micro 4/3機より多くなり、筐体のコンパクトさが一番の理由であるものの、どうもその理由の一部は操作性の良さにもある、と気付いた。CX や GRD シリーズで共通する直感的にわかり安いオペレーション、特に右親指位置にある ADJ レバー操作に、指が馴染んでいるらしい。個人的には、4方向ボタンと一体化され、スティック部が太い CX シリーズの UI が一番気に入っているのだが、GXR のそれも使い易さは共通する。
GXR では、背面左上の DIRECT ボタンも加わり、各種設定をこのボタン一つでコンパネを表示し、変更する事も可能となった。デジタル一眼レフ的な一覧性のある設定と、従来からの ADJ ボタンによるクイックな設定、どちらも自由に使う事が出来るのは良い。
CX や GRD、GX シリーズユーザーであれば、全くマニュアルを読まずに GXR の機能の殆どを理解する事が出来る。GR Digital シリーズと比較すると大きさ、厚みともに一回り大きくなるが、男性の手には握り易いグリップ・デザインもあり、丁度良いサイズである。
A12 カメラユニットをスライド装着すると、ズシッと重いが、撮影する気にさせるバランスの良さも前面に出ている。第一印象は四角四面で特異なデザインという感もあったが、使い込む程にそれが愛着に変わるから不思議である。
このカメラを手にしたら、後は GR Digital III 同様、ひたすら気になった被写体をスナップするべし。一眼レフを持つ時の様な気構えは必要無く、コンパクトカメラの様な気後れも無い。重過ぎず、軽すぎず。合計500グラムちょっとの重量は、携帯ツールとして丁度良い。速写対応とする為、ネックストラップは採用せず、三脚穴にねじ込むエツミ製ストラップを着用。レンズキャップを外す手間も避けたいので、フィルターでレンズを保護するのみ、とした。
撮影結果は、評判通り、背景ボケが美しく、画像にもキレがある。マクロ撮影でも、ラーメンに浮かぶチャーシューのシズル感迄描写され、すっかり感心した次第。先日購入した Nikon D3000 は、いかに小型とは言えやはりデジイチ、常時鞄に入れて置くには一回り大きい。しかし、GXRなら、利用しないかもしれないがちょっと持って行くか、という気にさせてくれる。そんなバランス感覚の高さが GXR の、最大の魅力なのかもしれない。
最近手に入れたデジタルカメラの中では、最大級の賛辞を送る事とします。今後発売が噂される、Panasonic GH2 あたりも気になるのではありますが。