Apple iPad
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iPhone 3GS の 1.5 倍と伝えられた処理速度は、画面表示サイズが大きい事もあってか 2倍程度に体感される時もあるほど、サクサクとした軽快な動作を見せる。処理を待つ時間、というのがほぼゼロであるかの様に、アプリケーションもブラウザもキビキビと動作し、必要な画面を提示してくれる。
それぞれのアプリを利用してみて、当方が最も評価したのはビデオと写真の再生機能。ビデオは 9.7 インチ液晶上で HD に近い解像度で再生されるが、iTunes で購入した HD ビデオを再生してもコマ落ちが全く無い。モバイル環境で、ここまで薄型大画面できっちりビデオ鑑賞が出来るマシンはこれまで無かったのではないか。このあたりは当方がこれまで利用していた VAIO Type X と大きな違いが出た。VAIO X では、ATOM CPU という事もあり、重いビデオ画像の再生は全く厳しかった。iPad の A4 CPU とビデオチップの威力を知るには、HDビデオが一番わかり易いだろう。米国 iTunes では、人気テレビドラマが一話3ドル、新作映画でも15ドル程度でオンライン販売されている。当初は 16GB で十分と考えた iPad だが、動画ファイルを溜め込む事を考えると 64GB が欲しくなる。
そして次に注目は写真関連の機能。iPad を立ち上げると、ログイン前の、ロック解除のスライドバー横に、見慣れた写真アルバムの花模様アイコンが最初から表示されている。これを押すと、即時にフォトアルバムのスライドショーが開始される。9.7 インチの液晶は、バックライトの輝度が高く明るく、非常に美しく写真を再生してくれる。もうこれより小さなデジタル写真立ては不要、と思える程。それだけでは無い。人物が写った写真は自動的に顔の部分がアップになる様に自動トリミングされ、次々に再生される。顔を自動検出するロジックを、スライドショー内でも上手に応用している。そしてスライドバーでロックを解除し、写真アプリをもう一度立ち上げると、画面上部には iPhone には無かった「写真」「アルバム」「撮影地」と3つのタブが並んでいる。そう、Mac の iPhoto 新機能 と同じく、GPS 情報が入った写真は、Google Map 上にピンを立てて、場所毎に自動でアルバム整理してくれる機能が、iPad でもデフォルトで装備されたのだ。地図の動作も軽快で、二本指でピンが立っている場所を拡大して行くと、その場所で撮影した写真が出て来る仕組みだ。GPS 内蔵 Cyber-shot HX5V で撮影した写真ファイルが、きちんとグルーピングされて表示された。
デジタル写真まわりの機能は非常に素晴らしいので、iPadカメラ接続キットという、USB や SD カードから直接 iPad に写真データを読み込めるオプションも必要という思いを強めた。
ライトな用途であれば、出張等でも十分使える、という思いを強めたのは使い易い付属電子メール機能と Keynote,(プレゼンソフト)、Pages (ワープロソフト)といったそれぞれ US$9.99 ドルと安価で買えてしまうアップル純正オフィスアプリの使い勝手の良さ。メール機能は基本は iPhone のアプリに近いが、広い画面を活かしてメールタイトルと本文が2画面に分離され、一覧性が高まった。メールソフトやワープロの Pages は、米国で既に利用されている方々の情報を参考に、Mac 用として発売された小型 Bluetooth ワイヤレスキーボード (JIS 配列でも可)を iPad に接続して使う事にした。内蔵ソフトウェアキーボードと比較し、NotePC の様に迅速で快適な文字入力が可能となる。キーボードのファンクションキーにある音量調節、音楽再生、停止、曲送り、画面輝度調整もそのまま iPad で使えるので、BT キーボードは小型なものも各種あるが、やはり純正を組み合わせるのが良さそうだ。
勿論、全てがバラ色では無い。Bluetooth ワイヤレスキーボードを接続すると電池の減りがやや早まる、内蔵ソフトキーボードでのブラインドタッチは難しく、両手人差し指で打つ必要有り、液晶面への指紋の付着は iPhone 同様顕著、といった点も見られたが、全体の素晴らしい仕上がりからするとマイナーな問題点である。
さて、最後に、モバイル環境では WiFi 版 iPad + モバイル・ルーター(Pocket WiFi 等)で利用するのか、既存機は居間専用機として、iPad 3G 版を新たに購入すべきか、という難しい次の選択肢は残っている。当方は普段 NotePC を持ち歩かず、モバイル環境では出来るだけ身軽でいたい、という希望があるので、あえて 3G 版を選ばず、iPad は WiFi 接続が出来る場所だけで使いたい、という方針なのだが、今後 iPad を継続利用して 3G の必要性については再検証してみたい。
米国では車移動が中心なので 3G 版 iPad 利用者が増えそうな気がするが、680g と小型一眼レフ並の重量の iPad なので、通勤/通学環境が厳しい日本国内では NotePC を日常携行しているユーザーか、出張時などでもなければモバイル環境では iPad「常時」携行派は少数となる可能性もありそうだ。(iPad - iPhone の中間の大きさの機種も将来用意されるという噂が有り、それが出るなら話は別だが。)通勤時の iPhone の優位性は、iPad と比較しかなり小型画面であるとしても、当面揺るがないのではないだろうか。まあ、こういう予測もモバイルに最適な新 iPad アプリの登場等で変化する可能性が強く、今後の推移をきっちりと見て行きたい。
当方は iPad を応接間、オフィス、カフェ、出張先等で活用することになりそうです。非常に気に入りました。