デジタル一眼レフを持ち出せば、満足行く写真を間違い無く撮影出来る。最近のデジイチは機能・価格競争が烈しくなった事もあり、どのメーカーのものを選んでもほぼ満足出来る。しかしその重さ、大きさで登板頻度が段々と低くなるのも常。最近 680g の iPad を常時携行荷物に加えた事で、これにデジイチが追加される可能性は、当方の場合はほぼゼロになってしまった。iPad に似合うスリムな鞄を見つけてしまった事も有り、デジイチはもう、物理的にも日常鞄に入らなくなってしまったのだ。デジイチに代わり、登板回数が最近最も増えたのは Sony Cyber-shot HX5V。25mm の広角から 250mm の望遠まで良く写る。動画機能もフルHD対応で、夜間撮影も得意なコンデジ。普通のスナップ撮影ならなんら不満も無い。しかし、背景ボケを活かしレンズの味を楽しもう、という事になると話は別。SIGMA DP2 の活躍余地はここにある。小型筐体ながら APS-C サイズの CMOS を備え、コンデジの大きさでデジイチ・クオリティの写真撮影を楽しめるのである。当方も DP2 を愛用、クリエィティブな撮影をこなせる良きパートナーとなっていた。しかし当方の目の前に本日突然現れたのは、DP2 のコンセプトを更に昇華させた様な仕上がりの、LEICA X1。品薄でカメラ店には発売以来在庫が殆ど無く、恵比寿の大沢カメラでお会いした菊池さんに実機を見せて頂いたきりだったのだが、本日偶然中古カメラ屋で、美麗新同品を発見してしまったのである。利用頻度が激減していた某デジイチとのトレードを決行し、僅かな支出で手に入れる事が出来た。本日撮影したサンプルは、こちらの flickr アルバムを御参照。(大きめ画像のスライドショーは、こちらからどうぞ。)フルオート露出と、絞り優先露出で手軽にスナップ撮りしただけなのだが、ELMARIT 24mm f2.8 レンズと APS-C サイズ CMOS センサーの威力を感じられる仕上がりに。
LEICA レンズはこれまでにも数本購入し、Micro 4/3 カメラで利用してきたが、カメラとしては実は My First LEICA となったのがこの X1。Panasonic 現行品の OEM ではない LEICA 製品として、面白い位置づけのカメラである。
ボディ造形は M9 には及ばないが LEICA らしいかちりとした品質感がある。描写性能良好な ELMARIT 24mm f2.8 レンズが付いて来る、と考えると、コストパフォーマンスは良いと言えるだろう。そしてボディ・レンズ込み 286g (電池別)という重量なら、iPad と合計しても 1kg 程度なので、日々携行する事が可能になるのである。この身軽さが、X1 最大の武器である。
実際に利用してみて、メニューのフォントの適当さや、電池を入れると電池蓋が多少浮き上がるデザイン等に外国メーカーらしい味が残るものの、撮影時の操作性は申し分無い。ISO, White Balance, 露出補正, AF-MF モード変更等多用する機能は物理ボタンとして独立して居り、即座にアクセス、設定変更が可能。MF によるピント合わせも、背面のダイヤルをグリグリ回して行える(合焦時には画像は自動拡大される)ので直感的だ。そして何と言っても、シャッター、絞りがそれぞれ独立したダイヤルとして存在するので、かつてのアナログカメラの様な露出設定が楽しめる。この2ダイヤル操作が、「写真を撮っている」という気持ちを高ぶらせてくれるのである。普通のコンデジではあり得なかった使用感である。
円筒形デザインのフラッシュも、頭面をクリックするとすぐにポップアップするので、思いの外使い易い。SDカードへの書き込み速度が遅い時がある、AF 合焦動作がもう少し速くならないか、というのが、今のところの少ない不満点だろうか。
新宿の夜景を撮影するだけでも、これまでよりビビッドに夜景が浮き上がって来る様だ。ピンぼけ失敗写真も、当初想像したよりずっと少なく、AF 精度も高い。Auto White Balance (AWB) も適切に作動している。オプションパーツも豊富に揃った LEICA X1 だが、当方的なおすすめは A&A (ARTISAN & ARTIST)製の X1用カメラケース。A&A らしくピタリと装着出来る様に正確に型取りがされて居り、カメラグリップにもなるので、別途グリップを買う必要も無くなる。満足感が高い一品だ。光学 ビューファインダーは、以前入手した Canon のレトロな 35mm 用を流用しているが、丸いデザインが X1 には似合っている様だ。
ゴールデンウィーク中は諸事情で長い旅行等は出来ないのだが、ちょっとした東京都内手ぶら撮影散歩には LEICA X1 の身軽さが嬉しい。このカメラに出会ったおかげで、楽しくクリエィティブな黄金週間連休となりそうだ。