水深 6m で2時間迄撮影可能な強力な防水機能、1.2m の落下でも大丈夫な耐ショック機能とアウトドアに強そうな強靭な外装のボディが注目される Pentax の最新デジカメ Optio W90 だが、最大の付加価値は顕微鏡モードと同社が命名した、1cm の至近距離から10倍迄画像劣化の無い(そのかわり、本モードでは 2.1M の画素数になる)超マクロ撮影が可能な拡大撮影機能。レンズ前に3つの白色 LED が設定され、顕微鏡モードではこれが自動オンとなり、カメラの影で被写体が暗くなる事も無い。ゴールデンウィークで子供と出掛ける際には、この機能は重要。気になったものは花でも虫でも石でも、全て顕微鏡超拡大モードで撮ってしまえるので、予想外の発見をする事が出来るのだ。早速近所を歩きながらテスト撮影した作例はこちらの flickr アルバムを御参照。(大きめ写真のスライドショーは、こちらからどうぞ。)
顕微鏡撮影を行う上での若干の注意点は、LED の強い光量。夜間や暗所ではこの強力さが武器なのだが、1cm の至近距離で日中撮影すると、強すぎて被写体が白飛びしてしまう事もある。顕微鏡モードでも、1-30cm までピントが合うので被写体から距離を置いて撮影すれば白飛びを防げるが、それではせっかくの超拡大撮影機能が体感出来ない。しかし残念ながら、顕微鏡モード稼働中は、LED ライトをオフにする事が出来ない。
解決方法としては、露出補正機能の利用。室内ならマイナス1段、明るい屋外ならマイナス2段程度まで、撮影画面の様子を見ながら露出を補正すると、適正露出な顕微鏡写真が撮れる様になる。
しかし、顕微鏡撮影で露出補正を多用する場合、もうひとつ設定変更をしておいた方が良い。W90 の通常メニュー画面から露出補正項目を選び出すには、やや操作が煩雑。ショートカットするには、予め機能設定できる背面下部のグリーンボタンの機能割り当てを、「Fn設定」にしておけば良い。すると、グリーンボタン→上向き方向キー、この操作だけですぐに露出補正機能を呼び出せる。露出補正以外でも、画質、記録画素数、ホワイトバランスの設定機能をグリーンボタンからすぐ呼び出せるので、このボタンの機能割り当て事前設定は必須であろう。
他のレビューでも指摘されているが、W90 のスリムな電池は、電池消費はやや早めだ。すぐにバッテリーインジケーターが減って行く。当方が購入した F 店では予備バッテリーが無料サービスで販売されていたが、予備バッテリーの購入も必要なカメラである。
カメラ全般の印象としては、スイッチオンから立ち上がりもキビキビしていて、全天候型スナップカメラとしての便利さは買い、である。Pentax が得意とするインターバル撮影機能も充実、10秒〜99分の範囲で設定出来る。天候変化を気にせずベランダの植物の開花の様子を撮影したり、バイクや自転車に固定して移動中自動撮影をしたりと、応用範囲が広い。顕微鏡モード+インターバル撮影も可能なので、これ迄は撮影に根気が必要だった、アゲハ蝶の孵化の過程等も、三脚に固定すれば撮影可能となるはずだ。
耐寒性能も、これをスイス旅行に持って行った同僚が、マッターホルンの近くで利用しても結露しなかった、と言っていたので、実用的に使えそうである。
単なる防水性や耐ショック機能だけでなく、アウトドアで利用した際の実際の使い勝手やクリエィティビティーの翼を広げる様な設計がなされた万能コンデジである。GW の旅のお伴に、良いと思います!