東京在住の当方でも、「鎌倉ハム」のブランドは良く知っていたのだが、お恥ずかしながら「大船軒のサンドイッチ」は昨日まで知らなかった。LA からの出張長旅のあと、NEX 内で小腹が空いて、車内販売で手にしたのがこれだった。パッケージもレトロで目を引くが、当方的には「鎌倉ハム ボンレスハム使用」に惹かれて、いつもなら久しぶりの日本でおにぎりを買い求めるところ、何故かこのサンドイッチを手にしたのだ。5百円と車内弁当にしては廉価だが、食べてみるとハムのクオリティはコンビニ等で売っているハムサンドイッチ等を凌駕。しっかりした厚みで、食べ応えがある。マスタードの味わい、パンのしっとりしたやわらかさも絶妙だ。ハムサンドが4切れ、チーズサンドが2切れ入っているが、このバランスも飽きさせぬ様に良く考えられている。ハムを2切れ食べては1切れチーズを、という塩梅である。これは旨いねぇ、と感心して、帰宅してググってみると思わぬ歴史が。本製品は明治時代に日本初の駅弁サンドイッチとして一世を風靡し、更にはサンドイッチが売れて売れて、それにより鎌倉ハム社が誕生したという、意外な歴史があったのだ。詳細は同社の歴史御参照。
鎌倉ハム誕生の経緯は、まるで Apple の iPhone が売れたのでコア部品となる A4 CPU メーカーを買収した(メタファーが IT 業界)、という具合で良く理解出来る。原料となる品質の高いハムの供給が足りないと、いくらでも作るだけ売れる製品の販売が止まってしまうのだ。
しかし、その後日本中の駅でサンドイッチ弁当が出現し、差別化の為に大船軒は、今度は「鯵の押し寿司」弁当を開発する、という歴史の推移も興味深い。ひとつの製品の成功に寄りかかっていては他社が追随するので日々の研究開発が重要、という点も IT 業界と同じなのである。
旨い有名弁当の裏に、苦闘の歴史有り。各地の駅弁の歴史を知りたくなった。それにしても日本では、こういう廉価な製品も品質が高く、美味しい。政治も経済も不振の我が国だが(わずか5日間米国出張している間に首相が鳩山さんから菅さんに変わってしまったのには驚愕した。)、海外に住めない理由は、これに尽きる。