Canon PowerShot S95
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S90 でそうしたのと同様に、レンズ周囲の前面リングには、露出補正機能を割り振った。ズームレバーはシャッター周囲に付いているし、ISO や White Balance は比較的動かす機会が少ないので、最も頻繁に撮影時に変更する露出補正を前面リングで操作すると具合が良い。フラッシュ・ユニットの上げ下げは、S90 と同様にモーター駆動となっているが、LX5 の様にバネ式にして跳ね上げる簡単な仕組みでも良いのに、と再び思ってしまった。高速でフラッシュの出し入れを行う事が出来るので、ギミックとしては面白いのだが...あまり電子的に操作する必然性を感じない部分である。
この大きさで、MPEG4 (MOV ファイル)の動画撮影が出来るというのも S95 の良い部分であろう。Mac を母艦に使っているユーザーなら、AVCHD 動画ファイルと違って、iPhoto で直接動画ファイルを読み込める点がメリットになるはずである。PCM ステレオ録音に対応している、という点も見逃せない。
本カメラのオプションで、迷ったが購入して良かったと思えるのは専用ケースの PSC-2900。首にかける革ストラップが付属し、スナップ時にすぐに開けるマグネット開閉のケースとセットになっている。前面の蓋には、S95 のレンズがちょうど隠れる丸く薄い溝が切ってあり、蓋をするとフラットに携行可能となる点も味噌だ。これは中々良い。
1週間前に発売された Lumix LX5 とどちらにするか迷っている方も多いと思われるので、両方を使っている当方の主観的感想をお伝えすると、画像の美しさ、明るさ重視なら、テレ端のレンズも明るい LX5 をお勧めする。ライカレンズの画像のキレは、好みはあろうが、Canon レンズに勝っている様に思える。EVF を装着出来る点も、LX5 のメリットであろう。
しかし、携帯電話や初級コンデジよりも美しい画像が撮影出来るアッパー・コンデジを毎日鞄に1台は入れて置きたい、というニーズには、PowerShot S95 のコンパクト・ボディがしっくり来る。この大きさ、重さなら、常時鞄に入れて置いても邪魔にならない。そして様々な撮影シーンをそつなくこなす映像エンジンのおかげで、それなりに満足できる写真が撮れるはずだ。
アーティスト志向なら LX5、気軽な街角スナップ派なら S95、いや、もっと端的に言うなら、気合を入れて綺麗な写真を撮影する LX5、気合を抜いて撮影してもそこそこ綺麗に写る S95、というのが当方が両機を使って得た感触である。当方的には、撮影ニーズに合わせて両方必要、というのが正直なところなのではあるが。