前機種の Lumix LX3 を購入したのは二年前の夏だった。新機種の Panasonic Lumix LX5 では、24mm f2.0 から始まる LEICA Vario-Summicron レンズの高い描写能力は継承し、望遠側は 90mm まで(LX3 では 60mm) 伸ばしている。そして望遠側でも f3.3 と明るい点がポイントだ。レンズ内部を見ると、LX3 では6群8枚だったレンズ構成が、LX5 では9群10枚となっている。レンズの変更が一番大きいが、LX3 → LX5 で、スペック上から理解し易い機能アップとしては、連写速度が秒間6枚→ 10枚に増加した事、動画が AVCHD Light 対応となった点、アスペクト比に 1:1 が追加されレンズ外周部のハードウェアボタンにも 1:1 の正方形が加わった事、HDMI 出力対応、ISO 感度上限アップ、露出補正が上下2段階から3段階に、などなど。細かい点ではこれ以外にも多数の機能アップが図られているが、当方として最も注目したのは、実は micro 4/3 機の GF1 のオプションとして発売された電子ビューファインダー (EVF) の DMW-LVF1 が利用出来る点だった。このクラスで、外付け EVF に対応するコンデジは、RICOH GX 以来だろうか。物心ついた頃から携帯カメラ液晶画面で撮影して来た世代は違うのだろうけれど、アナログカメラから出発していると、どうしてもファインダーを覗いての撮影スタイルにノスタルジーを感ずる。それを叶えてくれるのが LX5 + EVF なのである。中野フジヤカメラで本機を入手し、夕暮れの吉祥寺・井の頭公園を訪れて、早速撮影した作例は、こちらの flickr set 御参照。少し大きめ写真のスライドショーを御覧になる場合は、こちらからどうぞ。
画像の美しさは LX3 同様、落ち着いた発色の中にキレがあって、Vario-Summicron らしさがしっかりと出ている。今回は夕方から夜に至る時間帯での撮影で、本機では裏面照射型 CMOS 等は採用されていないが、手ぶれは予想より少なく、f2.0 の明るいレンズの強みを十分感じさせてくれた。井の頭公園池周囲の歩道は、木に隠れて照明を頼りに撮影する様な場所も多いのだが、しっかり撮影出来ている。池の上に浮かび上がる月の描写も、コンデジにしてはなかなかのもの。無理に多画素化せず、そして 1/1.63 インチという大型サイズの CCD を LX3 から LX5 に継承しているだけでなく、更に中身と周辺を新設計にして、明るさを確保しているとの事だが、それは撮影しながら実感出来る。
20.2 万画素しか無い為、GF1 に装着した時には、144 万画素の Olympus 製 EVF と比較し非力に思えた EVF も、コンデジに装着出来るとなるとむしろ有り難みが先行するので不思議である。勿論、EVF はもうちょっと多画素になった方が嬉しいのだが、このサイズで既存 EVF を付けられる発想をした Panasonic 技術陣には拍手を送りたい。レンズが明るいのでピントの山もまあまあ見えるし、撮影関連情報は EVF で全て把握出来る。暗所では両手+顔で3点支持になるので、EVF を使うと手ぶれも低減する。将来的には今のカメラの大きさのままで内蔵 or Pop-up 式になると一番良いが、現段階では外付けでも価値がある。実際、本日250枚近く撮影した画像の殆どは、EVF 経由であった。
EVF 利用のもう一つの利点は、90度持ち上げると、上からファインダーを覗き込む、クラシック2眼カメラ的な撮影ポジションを取れる事。1:1アスペクト比の正方画素に変化させ、白黒で撮影すると、アナログカメラで撮影している様な気分になれるというのも面白い。
本日はAVCHD Light の動画機能を試す時間が無かったが、キレの良い Leica レンズで撮影するビデオの出来も期待出来そうだ。次回はビデオ撮影に挑戦してみるとしよう。
ちなみに、前機種の LX3 を2年前にレビューした当方のブログエントリーはこちらを御参照。LX5 登場で LX3 は実売3万円以下に値下がりしているので、広角〜標準画角の静止画撮影メインなら、こちらもまだまだ現役で行ける。LX3 の作例アルバムを見ると、Vario-Summicron 24-60mm レンズの実力をおわかり頂けるはずだ。