M マウントレンズで 50mm f1.5 と明るいレンズとしては、Carl Zeiss C Sonnar を以前愛用していて、レンズのコンパクトさとともに抜けの良いシャープな描写と、机上の被写体を浮かび上がらせてしまう様な薄い被写界深度を気に入っていた。しかし、micro 4/3 カメラで使っていたため、換算焦点距離が2倍の 100mm 中望遠レンズとなってしまい、今ひとつ出番が少なく、手放してしまっていた。Sony NEX の E-mount なら、50mm レンズは換算焦点距離は 1.5 倍、つまり 75mm の、ポートレート用に丁度良いレンズとなる。そこで再度購入しようと優良中古を探していて、その前にこのVoightlander Nokton 50mm f1.5 Aspherical レンズ(生産中止)に出会った。大きさが C Sonnar より一回り大きくなるのでためらいもあったが、NEX-5 に装着するとバランスは悪く無い。むしろフォーカスリングが太い事で回し易く、中古価格的にも C Sonnar の半額程度という事もあって手に入れる事にした。Nokton の本領を発揮出来る夜景を中心に試写したが、悪く無い。画像のキレと全体的な明るさは C Sonnar が良い気もするのだが、Nokton の落ち着いた発色も好みである。作例写真は、こちらの flickr set から御覧下さい。(やや大きめ写真のスライドショーを御覧になる場合は、こちらからどうぞ。)
Nokton が C Sonnar より良いな、と思った点は、フォーカスリングの回し易さに加えて、絞りリングの動作が軽快である点。あまり大きな負荷をかける事なく、クリクリと動く絞りは非常に具合が良い。L レンズなので L-M アダプターが必要とはなるが、最近はほぼ常用と言って良いほど、NEX-5 を連れ出す場合にはこのレンズを装着している。
f1.5 の明るさは、フォーカシングの行い易さ、にも直結する。このレンズは、開放絞りのピントは浅いが、NEX-5 の MF アシスト機能と組み合わせでピントの山は比較的見つけ易い。マニュアルフォーカスのレンズを使う時に、開放の明るさは大変重要だ。夜景撮影でも有り難い部分である。3万円弱で、この描写が出来る優良中古レンズを手に入れる事が出来る。NEX-5 レンズアダプター沼の底は、まだまだ深そうだ。