デジカメを収集する、というよりは、デジカメ新機種に搭載される先端技術評価を趣味とする当方だが、何故か国内最大のカメラ製品の展示会、CP+ (Camera & Photo Imaging Show) には行った事が無かった。パシフィコ横浜で開催、という事で、湘南新宿ラインに乗り、横浜経由でみなとみらい駅へ。横浜という場所は、どうも心理的に遠い場所という感じがあってあまり足を運んでいなかったのだが、東京の西部からは千葉の幕張メッセへ行くより気軽な距離だ。みなとみらい駅も東横線からは直通で、駅から会場への距離も遠く無い。国内最大イベントの割には、西独のカメラショー、フォトキナの方が開発の主眼となるせいか、新規に発表されるフラッグシップ級デジイチ等があまり無いのは残念だが、SIGMA SD1 は世界で初めて本展示会で触れるという事で、まずはこれが視察のターゲット。一方、コンデジ領域では新機種も多数で、その中から上級機種となる富士フィルムの FinePix X100、Olympus XZ-1 が今回要チェック機種である。雪がちらつく午後に到着したせいか、入場登録ブースも込み合って居らず、会場も大きめである為か丁度良い程度の人の入り。まずは純白の SIGMA ブースへ。
尚、当日撮影した写真は、こちらの flickr set にまとめたので御覧頂き度い。(多少大きめ画像でのスライドショーは、こちらからどうぞ。)
SD1 は、世界初公開ということもあってか、稼働実機の展示は二台のみ。南京錠での本体施錠もあり、慎重な公開が行われている雰囲気だった。実機に触れると、大きさ程には重量感は無く、ホールディングもグリップ形状が良くしっかりと握れる印象だった。RAW 画像は最大画像サイズでは7枚までバッファされる、という事だが、データ記録にはひと呼吸待たされる感じもある。春の発売前には多少改善されると嬉しいと思える部分だが、Foveon ファンにはじっくり撮影派が多いと思われるので、多少 RAW 画像記録で待たされても SD1 の美麗画像を求めて買ってしまうのでしょうね、きっと。公開された SD1 のスペシャルサイトの作例には、息をのむ美しさがあるので、こちらも御参考頂き度い。発売日と価格はまだ未定だが、引き続き注目して行きたい。SIGMA ブースは、白を基調として、開放感にあふれる、大人のデザインという印象。山木社長も、現場一線で熱心に接客をしていて好感が持てました。(というか、当方が会場到着時に Tweet したら、それですぐに会場内で当方を発見する、という Twitter Savvy 度合い。さすが。)
そして次は、Fujifilm のブースへ。こちらでの目当ては、レトロデザインで話題を呼んだ FinePix X100。20分程列に並んで、実機を触る事が出来た。まずは View Finder。電子的な EVF と光学的なファインダーがレバー操作で切り替わる様子を体験。EVF は144万画素と解像度が高いが、それよりも光学ファインダーの見え方を好感。一眼レフと異なり、レンジファインダー型なので、撮影範囲よりも広い視野で被写体を眺める事が出来るので、情報量が非常に多い。その光学視野の上に違和感無い色とデザインで、電子的な情報(シャッター速度や絞り情報等)が撮影枠とともに表示される。これは新しいデジカメ撮影体験である。シャッターを切ると、光学ファインダーはシームレスに(レバー操作をする事無く)撮影画像をそのままファインダー内で確認出来る状態になる。ファインダー倍率から多少画像の大きさの変化は出るものの、チューニングはきちんとなされていて違和感は無かった。MFによる撮影は、レンズ周囲のリングを回して調整可能。細かいピント合わせは EVF で、画面中央を背面右上部のボタンを押して拡大し調整する事になる。UI は各種、直感的に理解し易く設定されている。ボディ質感の高さと合わせて、これはミドル世代以上の層に売れそうな気配。ひとつだけ惜しいのは、背面の OK ボタンの押しにくさ。もうちょっとボタンが大きければ押し易いのだが、良く出来たカメラだけにここは惜しい部分。
最後に、明るいズームレンズを備えた XZ-1。オリンパスが力を入れた高級コンデジという事で注目し、ブースで操作を重ねたが、当初の期待に反する部分が二点。まずは起動してすぐに気付くのだが、液晶の色味が良く無い。やや青みがかっていて、被写体の本当の色を反映してくれない。個体の問題や設定の問題かと思って複数機種を試してみたのだが、どうも同じ状態だった。某氏情報では、有機EL を奢った事が裏目に出ている様だが、撮影画像は液晶で見るよりずっと美しい、という事なので尚更惜しい部分である。発売まであと1週間なのですぐの変更は無いと思われるが、ここは改善を望みたいと感じたところだ。もう一点惜しいと感じたのは、マクロ設定操作がやや煩雑である点。背面十字キーを押してから、もう一回別のボタンを押して初めて、マクロモード設定が可能になる。マクロ撮影は機会も多いので、もうちょっとシンプルにして欲しい部分だ。
以上、限られた時間内での各社ブースレビューなので、ベータ機も有り、実際に発売される最終製品では改善されて来る部分も多いと思われるが、当方が感じたところを素直に書いてみた次第。
CP+、なかなか面白いです。新機種展示以外にも、今や世界的(!)iPhone 写真家の三井 (Sasurau) さんによる、iPhone 写真を Epson プリンターで印刷してみるワークショップも開催されていたのでありました。当方は時間が合わず見学出来なかったので残念。本年度は土曜日で閉幕しましたが、4日間で約5万人の来場があったとの事。まだの方は、是非来年、中華街での食事プランと合わせて行ってみて下さい。カメラ性能を理解させる為の撮影用アトラクション(BMX でのジャンプ披露や、超美技けん玉の実演等)も多数なので、家族皆で楽しめるイベントですよ。