リコー CX4 は比較的早期に1軍カメラを離脱した(当方ブログでのレビュー記事は、こちらを御参照)ので、CX5 にも当初はあまり興味を持っていなかったのだが、関連情報を調べているうちにパッシブAF 性能や 600mm 望遠での超解像ズームを試してみたくなり、購入を決定。まだ数日使っただけではあるが、CX4 と比べて AF がスパッと決まる感覚が有り、普段使いの10倍ズームコンデジとして、1軍カメラに定着しそうである。AF は、確かに速い。Pentax K-5 を利用した後ではもの凄く速い、という事では無いが、普通に使っていて合焦速度が気にならないスピード、と表現したら良いだろうか。どんなシーンでも、今ちゃんと合焦したな、という事が感覚的にもわかり易いカメラになった。そして、パッシブ AF 効果で、突然現れた被写体に対しては、コントラスト AF 合焦を待つ事無く、シャッター押し下げですぐに撮影出来る。いわゆる「パシャパシャ」連写する、という事を、まるで AF 無しの無限遠トイデジカメの様に行い、それでいて AF も効いている、という芸当をやってのけるのである。街角スナップ派には、大変嬉しい機能である。
そして超解像。作例写真にもいくつか載せたが、10倍ズームを越えたところのデジタルズーム部分が、背面液晶で緑色表示 "SR" の超解像モード。10倍以下のズーム倍率でも超解像を活用したい時には、メニューから超解像オンにして強弱を選んで設定する事になる。600mm 相当の超望遠域での撮影になるが、明るい日中なら手持ち撮影でもこなせる光学手ぶれ補正もなかなかのもの。代官山のビル屋上から遠くの景色をいくつか 600mm 相当で作例に載せたのでそれを見て頂き度い。遠くの景色で霞がかった部分は差し引いて見て頂き度いが、コンデジで撮影したとは思えない様な画像に仕上がっている。
Flickr set の作例は、こちらから御覧頂き度い。やや大きめ画像のスライドショーは、こちらからどうぞ。
AF や超解像が本機の一番の売りと思われるが、CX4 からの細かい改善部分も評価したい。有り難いのはグリップ部。CX3 のギザギザグリップの持ち易さから CX4 ではツルツルグリップになり、ホールド感が低減したが、CX5 ではグリップとなる金属凸部の最下部当たりの膨らみが大きくなり、丁度中指を掛けるあたりの収まり感が高まった。たったこれだけの変更で、これほどグリップ感が変るのか、と驚く様な微細だが重要な変更。CX4 がもう手元に無いので正確な比較が出来ないが、Menu や Fn といった4つの背面ボタン部分も、表面の R 形状が出来て親指に優しく押し易くなっている様だ。こうしたちょっとした変更で、カメラの印象というのは大きく変わるものだ。
CX4 のサイズは、最近利用頻度が高まっていた Canon PowerShot S95 と比較しても、わずかに大きい程度。これで10倍ズームが収まっているなら、旅行時に持ち出すカメラとしては、最強レベルではないだろうか。
ライバル機としては、同日発売された Sony CyberShot HX7V が有り、GPS の搭載やフルハイビジョン動画撮影機能等では優位性を持っているが、HX5V を使っていたユーザーなら、CyberShot は3月発売の光学16倍ズーム機、CyberShot HX9V を待つ方が良さそうだ。
今年はコンデジ10倍ズーム機の機能アップも目覚ましい。こうなると、ますますデジイチを持ち歩く時間が限定的なものになりそうである。