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東日本大震災は突然に、3月11日午後2時46分発生した。冒頭にアップロードした動画は、5分以上続いた長い本震が収まってから、お台場方面の黒い煙が大量に発生した火事(後に、海上保安庁の建設中新ビル屋上の火災と判明)を代官山にある会社ビル屋上から確認しに行った時に、大きな余震が生じた様子。12階建てビル屋上が大きく揺れ動き、相当な重さの鉄製テーブルが動かされる様子が偶然にも収められた。ビル内の一部の部屋では多くのモノが落下、破損したが、幸いビル内外装には大きな損傷は無く、怪我をした人もいなかった。同日は都内の電車も全く動かなかったので、会社近くの学校に通う長女とともに2時間以上かけての徒歩の帰宅となったが、幹線道路は激しい渋滞で、裏道をずっと歩いて帰った方が、自動車よりむしろ早かった様だ、と後で知った。遠方に住む同僚は、遅くに動き出したわずかな路線や自転車の購入等で相当苦労して帰宅、落ち着かない一夜を会社オフィスのソファーや都心の避難所で送った知人も多数。それからもう、3週間以上が経過しようとしている。
地震発生後の津波、福島第一原子力発電所の被災による火災、水蒸気爆発、周辺環境への放射性物質の漏洩、とその後被災地では絶え間ない変化が続く中で、東京に住む我々も「今だからすべき事」を、具体的なアクションとして出来る事から進めていかねばならない。募金、必要物資の寄付等を手始めに、必要とされる支援を、被災地の具体ニーズに応じて柔軟に提供して行かねばならないし、その為に必要な情報を、適切かつ適時に供給可能な草の根ニュースインフラに提供し、広げる事も重要と考えている。一方でこういう時期なので、情報は様々な立場のものが錯綜し、それにより情報の受け手側の行動にも大きな影響がある。
発電所の放射性物質漏洩に関する情報も、国内・海外の情報がそれぞれの立場のオピニオンを背景に錯綜する為、受けて側も良い情報、悪い情報、それぞれに耳を傾けながら、現在起こっている状況を複合的に理解する必要がある。大切な事は、情報源に関しては国内、海外を問わず多数のソースにリーチ出来、実際に起こっている事、それに関する数値的情報が適時公開される事だろう。マスメディアからの包括的、選択的な情報提供にプラスして、フラットでオープンなインターネットのインフラの上に、政治家、企業、専門家から一般市民に至る様々なレイヤーで多くの被災地情報提供、支援の為の議論が展開される事が重要で、根拠の薄い情報や恣意性が高い情報には十分気をつけつつも、他方で「不安を煽るかもしれない」という理由の下に公開すべきデータに透明性が与えられず、適時公開されない、という事態だけは避けられねばならない。
物理的な通信インフラの脆弱性は、今回の震災ではっきりと示された。被災地から離れた東京でも、地震発生直後から電話、携帯電話ともに殆ど繋がらなくなり、SMS や携帯メールも届かず、当方自身も、地震後家族とやりとりが出来たのはインターネットのメールやソーシャルネットワークを通じて、数時間過ぎてからであった。某大手企業勤務の友人からは、セキュリティ専門企業が提供する災害安否確認サービスが、震災後一番最初にダウンして使い物にならなくなった、という驚くべき話も聞いた。現在、インターネットのメールやソーシャルネットワークは、我々の業界では当たり前の様に皆が使っているが、今後はより多くのユーザーが難しい手続き無しに緊急時のネットインフラを使える仕組みも必要となるだろう。地震発生後しばらくして、子供を学校に引き取りに行く為に恵比寿駅を通り過ぎた際に、当時携帯電話よりは通じる頻度が高かった公衆電話ボックス前に、長い行列が出来ていた。公衆電話は携帯電話の発展に従いかなり数が少なくなっているが、コインを入れるとネットのメールやソーシャルサービス、VoIP 電話等を簡単に使える複合機能を備えた公衆ネット端末等が普及する事も、今後は必要と思った次第。このあたりは NTT 等、公共の通信網を管理する大手通信会社に頑張ってもらいたい部分だ。
原子力発電所からの放射性物質漏洩状況に関しても、政府や原子力保安院、東京電力、そして海外の様々な関係機関による重要な事実の公表が、テレビインタビューだけでは無くネットを通じてリアルタイムに広く知らせる仕組みが更に強化される事が望ましい。文部省発表のモニタリングポスト放射線計測データや水道の状況、風速や拡散シュミレーションなどのデータにはより使いやすい Open API を設定する事が出来れば、より多くのソフトウェア技術者がそれを元に UI を工夫して、一般ユーザーが理解し易い様に工夫された情報提供が可能となるはずだ。地震後三週間が過ぎて情報が断片的になり、報道も限定的になっているが、被害の範囲は漏れ出る情報からは広がりを見せている。パフォーマンス的な記者会見や映像提供だけでなく、国民だけでなく世界中が注目している原発の状況を、より透明性高くリアルタイムに発信可能とする仕組みに、官民双方の協力で知恵を絞る必要があるだろう。
地震発生後、国内外の政府関係者、マスメディア、有識者、ソーシャルメディア経由の草の根情報、それぞれから多くの情報を解析し、Joi とも意見交換を続ける中で、今後ネットが果たすべき役割の重要性に身が引き締まる思いを強める。そして、より役立つ災害対応サービス開発に向けて、これまでのやり方にとらわれない、率直で建設的な意見交換を、更に続けて行きたいと思う。
Posted from iPad2 via dPad by drikin.