かなり早いタイミングでアマゾンから予約をしていたテキスト入力専用端末、キングジムのポメラ(pomera) DM100 だが、さすがに実機に触らないと購入決断は出来ないな、とアマゾン予約をキャンセル、25日の発売日を楽しみに待っていた。そしてついに昨日販売開始。新宿の量販店閉店時間前に、実機に触れてみることにした。
前機種では二つ折りキーボードのたわみ感や、携行時に意外に厚みがあって鞄内でかさばるボディ、バックライトが無く暗い場所では使いにくい...各種欠点があったのだが、新機種 DM100 ではその全てに改善が図られている。
ストレート型キーボードに生まれ変り、開いてから固定する、という面倒が無くなった。それにより本体強度も増して、旧型ではやりずらかった膝の上等平面でない場所に置いてのタイピング、にも問題が無くなった。薄いボディは、鞄からさっと取り出し易くなり、蓋を開けるだけで即入力が可能。小さい様で非常に大きな改善だ。そもそも Pomera を使う人種はせっかちである。テキスト入力したい、と思ってから書き始めまでのスピード感が非常に重要で、それをクリアしたのが DM100 なのである。
自宅やオフィスで Macbook Air や iPad を頻繁に利用していて、これ以上に良く出来たモバイル端末は無いと思いながらも、電池の持ち時間と重さ等から通勤時には iPhone だけを常時携行している、そんなあなたが pomera DM100 の対象ユーザーである。
蓋を開けてから入力可能となるまでの時間は Macbook Air より一瞬だけ遅い程度。キーボードのソリッド感は Air 程ではないが、長文入力にも耐えるキーボードの大きさ。iPad に Bluetooth キーボードをつないでテキスト入力をする際に頭が痛かった FEP のかな漢字変換辞書の出来の悪さの問題も、pomera DM100 の ATOK が見事に解決してくれるので、流れる様に文章入力を続けられる。モバイル環境、喫茶店等でiPhone で少し長いメール本文を打とうとするとソフトキーボードの反応の遅さが気になるが、pomera DM100 からさっと文章を打って、液晶左手にある QR コードボタンを押すだけで入力した文章が QR コードに一瞬で変る。あとは iPhone に QR コード対応アプリで取り込むだけ。このやりとりもスピーディだ。Bluetooth 接続のキーボードとしても使えるので、勿論その使い方もあるのだが、pomera 液晶の前に iPhone を置いて、画面を見やすい角度に蓋側を倒すと、重心が後ろに行ってしまうのであまり具合が良く無い。入力したある程度の長さの文章を pomera から iPhone に移すには、QR コード経由での転送が、QR 専用ボタンがついた DM100 ではより実用的かもしれない。一方で Twitter でのリアルタイムなやりとりの文章を打つには、いちいち QR 転送も面倒なので、スタンドのある iPhone ケースで iPhone 画面角度を机上で調整して、pomera 本体と切り離して横に置いて BT 接続し使うのが良いだろう。(または、眼鏡ケース等を pomera の蓋の後ろに置くと、支えになるので iPhone を置いても後ろに倒れにくくなる。)
辞書機能も、液晶右側のサイドキー一押しで、国語、英和、和英辞書が高速に立ち上がる。キーボードが打ち易い分、調べたい言葉の入力スピードも上がるので、実は電子辞書としても(ジーニアスの英和/和英で良ければ)かなり実用的であると言える。表示設定で、最初に立ち上がる画面を電子辞書にする事も可能となっている。
普通の大きさの SD カードに対応するのも良い。PC/Mac とのやりとりは Bluetooth でも出来るが、ペアリングの後で、PC/Mac 側から pomera に BT 接続してテキストファイルを吸い出す事になる。SD カードに常時ファイルを書き込む様にして置いて必要な時には SD 経由で移す方が楽かもしれない。
ともかくも、この端末のシンプルさと気軽さがいい。長い文章を打ってみようか、という気にさせてくれる。飾り気が無く、マットブラックな本体デザインは、"Zen of typing device" と呼びたくなる仕上がりだ。もし Steve Jobs がこのマシンを本気でデザインしたら、右上コーナーのストラップ穴を無くし、たわみ感ゼロのアルミユニボディに仕上げるのかもしれないが、実売3万円を切る端末としては、非常に良く出来ている。ブラインドタッチ・タイピングスピードが、出来る限り思考速度に追い着いてくれる事を願って止まない、全てのタイピング愛好家におすすめ出来ます。