一昨日、当方ブログの「東京都内で過ごすゴールデンウィーク、午後3時から行く西荻窪への旅」が比較的好評(総武・中央線沿線在住者内輪受け)だったので、これは休み中に第二弾をやらねばなあ、とゆるやかに考えていたところ、5月3日の本日は朝から土砂降りの雨。せっかくの雨を活用しようと Olympus OM-D の防滴機能の庭先植物撮影チェック等は行ってみたものの、さすがに庭先では「小さな旅」とも言えない。どうしようか、と考えているうちに午後3時過ぎには雨が小降りに。よしゃ、と家から遠く無い場所の旅に想いを馳せたところ、先日の某テレビ番組で、人気歌手の一青窈さんが絶賛されていたラーメン店の事を思い出した。「そうだ、アレを食べに行こう。」当方の東京都内小さな旅の目的地は全て、食べ物次第で決まるのである。いざ、目黒へ。普段通勤で行く恵比寿の隣駅だが、意外に降りた回数は少ない場所だ。そのさらに隣の五反田へは仕事で良く行くのだが。そういう「近いし周辺駅は良く知っているのに、ここだけあまり知らない喪失感」は、当方的には西荻窪に被る。(強引)
最近はまっているラーメンは、実はシンプルな東京ラーメン。具材はシナチク、ナルト、海苔など最低限で、スープもしつこくない無化調系、あっさり醤油味。麺はあくまで細く、つるしこで。何度食べても飽きがこない、そういうラーメンに回帰しつつある。番組で拝見したところ、一青窈さんも相当なラーメン通で、しかも、ついついいつも行ってしまうという有名ラーメン店の支那そばは、当方の好みと相当重なる様に見えた。「♪えぇーいーやー目黒でラーメン泣き(字余り)」出来そうなので、目黒駅から雅叙園前を通る小道を颯爽と降りて行く。するとすぐ右手に、目黒では珍しい、以前行った事のあるトンカツ屋を発見。一瞬心が寄り道しそうになるが、初心貫徹と坂を降りて行く。
坂の途中の面白そうな景色には目もくれず。
塀をつかむ様に成長している木だけはさすがに気になったので、とりあえずスナップ。
目黒雅叙園の入口を越え、雨で増水した目黒川を越え。
山手通りに出てすぐの歩道橋を渡って南下しすぐの場所のはずが、食べログの地図が、実は2月に移転する前の旧店舗の場所だっとわかり、150m ほど大鳥神社方面に戻ると。
ようやく下目黒の、一青窈がこよなく愛するラーメン店、「かづ屋」に到着。幸いに、雨のゴールデンウィーク中日の午後4時過ぎで、時間も半端、空いていた。(食べログ情報でワンタン麺も美味そうだと知っていたのだが)迷わず支那そば、玉子、瓶ビールを注文。そう、休日は午後4時過ぎからビール、である。
あまり待たされる事無く、熱い湯気を放つ今回の小さな旅のメインとなる支那そばが到着。いやこれは、美味そうだ。TV を見ていても感じた事だが、スープ下の麺の見え方が整然としていて美しい。具材がシンプルな分、麺が良く見える訳だが、水面下に美しく盛ってある。これは出来そうで出来ない、匠のワザである。食べる前から嬉しくなってしまう。そして一口食べて納得。細麺のコシ、主張しすぎない、でもじわりと効いて来る醤油。シナチクはやわらかく、主役をもり立てる。器の中心には、小ぶりの叉焼。「♪薄紅色の可愛い叉焼のね〜果てない夢がちゃんと」そう、叶ったのだ。ラーメンを食べながら、これだけ楽曲が脳内再生されたのは当方の豊富なラーメン体験の中でも珍しい。そう、下目黒かづ屋は完全に、一青窈さんの歌声オーラに包まれていたのである。そして本当に、美味い。
麺量もしっかり有り、これで満足のはずだった。店を出て、再び目黒駅方面へ向かう。そして目黒川沿いを渋谷方面へ歩いて抜けるつもりだったのだが、何故か当方の足は継続して、目黒駅方面を目指している。胃の満足感と、頭の目的意識とは全く別に、両足が目黒駅への坂を昇って行くのである...その先には....。
そう、先ほど通り過ぎた、目黒駅からほど近い路地にある、有名とんかつ店の目黒とんき。当方の足が、ここを素通りしてはいけない、と教えてくれたのだ。なんと忠義深い足であろう。
さきほどラーメンを完食したばかり、というのに、意思ある足に負けて仕方なく、大きなお店の入口をくぐる。そこに広がるのは、以前も大きなインパクトを受けた巨大カウンターと中央の厨房。高級住宅街の目黒の駅前にして、この余裕ある店舗構成は、老舗ならでは、と言えるだろう。5時過ぎに来ているお客さんは、御近所の老夫婦然とした方々が多い。そう、夕食時間が始まる前の、目黒御近所アワーに間に合ったのである。とりあえずはヒレカツを注文。差し出された新聞を読みつつ待っていると、見事な包丁さばきで食べ易く切られた、パリパリの衣に包まれたヒレカツが登場。
そう、これがとんきのとんかつ、だ。久しぶりなので涙が出そうになる。久しぶりに来て感心するのは、キャベツ、御飯、豚汁、それぞれが無くなったタイミングの直後に、おかわりはいかがでしょうか、と声がかかるのである。それぞれの客に対する、店員さんたちのホスピタリティ、恐るべしである。さすが老舗。非常に気持ちよく、おかわり迄頂ける。6時近くなると、さすがに店も混んで来たので、また次の目的地に向かうべくお店を出る。ラーメンを完食した事をすっかり忘れて、おかわり迄してしまったが、当方の胃の中では補完的な様で、全く苦しいという事も無い。
6時を過ぎて、目黒川沿いにも夕闇が。中目黒に近づくと、お店の灯りでところどころ明るくなるが、やはり暗い川面も見えにくい時間帯になって来る。家路を急ぐ様に、渋谷方面に向かう。
代官山から中目黒に通じる道の、見慣れた風景も夜にはまた別の風情が。
山手通りと交差する前に、カステラで有名な福砂屋の東京工場を発見。なんとこんな場所にあったのか。しかも店舗直売も有りとの看板に一瞬心踊るが、本日はもう閉まっている様子。ここは次回また、訪れてみるとしよう。
ということで、目黒川沿いを抜け、午後7時には246を超えて、目的地の渋谷地区へ。目黒からは、わずかに1時間程度の徒歩行程なのでありました。桜の頃にはもっと美しいコースと思われるので、次回は4月に挑戦かな。
それにしても下目黒のラーメン「かづ屋」ととんかつ「とんき」、前回の西荻窪とはまた違って、目黒らしい優雅さも感じさせる、大人のBグルメ旅なのでありました。都内で GW を過ごされる方、夕方の小旅行に是非。