以前から注目していた東芝の WiFi サーバになる SD カード、FlashAir が、ちょっと目を離した隙に発売されていた。そうか、2ヶ月も前(3月10日)の発売だったのか。これはぬかった。競合製品の Eye-Fi カードによる iPhone への転送機能がやや手間だったので、もうちょっとシンプルなソリューションを探していて、FlashAir が良さそうだと思っていたのである。
Eye-Fi カードは、WiFi をつなぎに行くところで迷ったり、転送処理に時間がかかる事が多かった。当方の使い方では、手持ちのデジカメ(RICOH GR Digital IV) から iPhone4S に、数枚の写真を転送出来れば良いので、WiFi のセッションで毎回待たされるのには閉口していた。iPhone4S で専用アプリを立ち上げねばならない、というのも、アプリをその度に探すのでやや面倒だった。FlashAir の場合には、SD カード側が WiFi のファイルサーバになる。iPhone からは特殊な専用アプリを使う必要無く、サファリブラウザでアクセスするだけで良いのである。
SSID/Network Key をそれぞれ最初の接続で設定してしまえば、あとはそれを入力する必要も無い。指定の URLを選んでブラウザでカードに接続すると、DCIM のフォルダが見える。後はそれを展開して、サムネールを高速表示させ、必要なファイルだけ該当サムネールから写真を表示、ブラウザ上で写真を長押ししてiPhone4S の写真フォルダに保存する、これだけで WiFi 無線経由、デジカメ内の FlashAir SD カードから iPhone4S への写真転送が完了、となる。シンプルで、直感的な操作だ。
最近は Canon IXY1 等、スマートフォンとの WiFi 接続機能が最初から内蔵されているデジカメも発売される様になった。しかしその場合でも、カメラ側での転送設定、そして iPhone4S 側での専用アプリの立ち上げ、その上で接続が完了する迄少し待つ必要があったのだ。
これまでのどの Solution よりも、東芝 FlashAir は、一度設定してしまえば、軽快にファイル転送が行えるのである。デジカメ内の写真を一括で iPhone / iPad 側に転送したい、といったニーズには不向きだが、フォト SNS アップロード用に良く撮れた写真を数枚だけ、 iPhone へ転送したい、そういうニーズに最も向いている。そして構造がシンプルなので、よほど電波状況が悪い場所でなければ、接続を失敗する事も殆ど無い。セッションがうまくいかないストレス、というのは意外に大きいので、それが無いだけでも非常に有り難い。
FlashAir 内に置いておくべきファイルの関係で、デジカメでのカードフォーマットが出来ない点は少し残念だが、それも必要ファイル以外を PC/Mac 上やデジカメ上で選択消去する、という事で補う事が出来る。
第一製品で、コストを抑える為に Class 6 である点など、まだまだ改良の余地はあると思われるが、iPhone だけでなく WiFi / ブラウザを備えた製品なら、PC や Mac, Android でも特殊なアプリをインストールする事なく使える手軽さも評価出来る。デジカメとスマホをつなぐ、サクサク感覚の無線転送ソリューションを探して居た方、お試しあれ。
きっと近い将来には、iPhone4S とデジカメを Bump させるだけで無線写真転送が完了、なんていう誰でも使えて直感的な操作のソリューションが生まれてくるのでしょうけれど、それまでは FlashAir の様な設定は必要だが比較的シンプル、というソリューションを使って待っているとしましょう。