製品発売の2週間程前に、そのニュースはもたらされた。Sony が1インチ CMOS を備えた高級コンデジを発売、しかもレンズはカールツァイスのバリオゾナー、T* (ティースター)コーティング。広角端は明るい f1.8 スタート。ここのところ Panasonic 系のカメラ/レンズ利用頻度が増えて、どちらかというとズミルックス 25mm f1.4 等ライカレンズ寄りとなり、カールツァイス系は Contax G ビオゴン 28mm を使うのみだったので、このニュースにはグッと心を鷲掴みにされた。
発売日前に数台のカメラ、レンズを処分して、その時に備える。6月15日、発売日に CyberShot RX100 を入手し、早速種々テストしてみる。うむっ、これは!!。期待以上の秀逸な出来の上級コンデジだった。ひとまわり大きなレンズ交換式ミラーレスの出番が少なくなってしまうのでは、と心配されるほど、作例の仕上がりも良い。
ボディ剛性はしっかりしていて、高級感がある。操作性については、大きいレンズで沈胴式なので、スイッチオンから撮影可能となるまでにはひと呼吸必要だが、立ち上がってからの動作は2000万画素のコンデジとしては驚くほどサクサクである。レンズ周囲のコントロールリングにクリック感が無い点は、Canon S100 から移行すると最初はとまどうが、しっかりした造りなので慣れれば問題無い。絞り優先ではそのリングで実絞りがコントロール出来、背面液晶で撮影イメージを事前に確認出来る。シャッター優先なら、シャッター速度をリングで設定出来るのである。撮影モード毎に、一番必要な機能が、デフォルトでリングに設定されている。
ダイヤル類もしっかりと固めの操作感で、簡単にモードがズレる事も殆ど無い。こういう所はしっかりライバルを研究している、という事だろう。Nikon1 などは、トータルで非常に良いカメラなのにモードダイヤルの動きが緩くて、設定が不用意に動く事が多く残念だったのだが、RX100 はその心配も無い。充電用ジャックが、通常の Micro USB タイプなので、一般の Micro USB ケーブルで出来てしまう点も見逃せない。出張荷物が、これでまた少し低減出来る。カメラメーカーにより、特殊な USB を使わねばならないケースも散見されるが、是非このあたりは RX100 の様に世界標準に合わせて欲しいものである。
このカメラは、まずはその作例を御覧頂き度い。2千万画素、1インチ CMOS らしい描写感は、これまでのコンデジ写真のイメージを一新してくれる。夜の高感度撮影でのノイズ除去もしっかり出来ている。映像エンジンも秀逸だ。
さらに多くの作例は、こちらの flickr set で御覧頂き度い。少し大きめ写真のスライドショーは、こちらからどうぞ。
本機は、設定を使い込むと、オリンパスやペンタックスにも負けない程のデジタルフィルター類が隠れていたり、顔認識をするとポートレイトを自動で切り出す機能がついていたりと、いろいろ面白い機能が隠れているのだが、それより何より、コンデジにしては圧倒的な解像感の CMOS、高品質なボディとレンズ、そしてこなれた操作感を評価すべきだろう。小型軽量なミラーレスカメラ選択を悩んでいるが、本当は毎日鞄に入れて持ち歩ける高品質なスナップカメラが欲しい、そういう方にはしっくりと来るカメラのはずである。
当方も、今年上半期に登場したデジタル・カメラの中では、一番気に入ったかもしれません。当面は一軍カメラとして Digitalbears で活躍してくれる事でしょう。