SIGMA の DP Merrill シリーズを導入したあたりで、もうマイクロフォーサーズシステムは使わないかなと一旦 OM-D (E-M5) のボディ、レンズを全て処分してしまったのだが、Contax G の優秀な Carl Zeiss T* オールドレンズ資産も遊休化してしまい、残念感が漂っていたところに OM-D と同等の 16M CMOS、画像エンジンが搭載された超小型 PEN シリーズ登場の News が。Pen Lite と Pen mini の両機種のうち、前者の Pen Lite E-PL5 は自分撮り迄可能な可動液晶が奢られ、デザインが酷似した上級機種の E-P3 を凌駕する機能が備わっている。この大きさ・軽さで、暗所撮影にも強い OM-D と同等の画質を実現したというのは、凄い事である。現在オリンパスが持つ最高機種の機能を、最新エントリー機種に搭載した、というのはかなりの英断。これはデジカメ能力検証ブロガーとしては使ってみない手は無い。
本機種は、ボディ単体は受注生産で、基本はレンズキット販売。エントリーユーザー向け商品で、レンズ販売本数増加戦略もあるのかもしれないが、これだけマクロフォーサーズが市場に出回る中で、二台目購入ユーザーも増えているはず。普通に在庫されるボディ単体販売も増やして欲しいものである。今回は事前予約をしていなかった当方も仕方なくレンズキットを購入したが、OM-D の秀逸な映像エンジンに、エントリーズームレンズだけでは勿体無いと、SIGMA の 19mm f2.8 EX DN 単焦点レンズを利用する事にした。単体価格では Olympus の キットレンズよりも安いレンズだが、光学性能は中々優秀である。Panasonic-Leica Summilux 25mm f1.4 の装着も考えたが、小型になったボディとのバランス感は SIGMA の方が良い様なので、まずはこちらを使ってみる。本レンズは OM-D でも利用して作例写真があるので、E-PL5 作例との比較検証も可能である。
それでは最初のレビューとして、まずは数枚作例レビューを。最初の1枚は、我家のウサギ近影。女子らしく可愛らしいまつげまでくっきり描写。さすが OM-D 譲りの画質を誇る E-PL5。(オリジナルサイズ画像で御覧下さい。)
SIGMA 19mm f2.8 の最短撮影可能距離は 20cm。基本的には接写を得意するレンズでは無いものの、それなりに寄る事も可能。花の近接撮影事例。
土曜日は天気が良かったので、水上バスで両国から浅草まで短距離移動。逆光気味だが、ダイナミックレンジが広い OM-D 譲りの画像エンジンは、船体側面を黒くつぶさない配慮をしてくれる。
隅田川の低い橋桁にぶつかりそうになりながら、無事浅草の船着き場到着。次は SIGMA 19mm の開放 f2.8 でのボケ味チェック。まずは前ピン、花にピントを合わせて背景の東京スカイツリーをぼかしてみる。
今度は後ピンで、前の黄色の花をボカしてみる。フルサイズカメラと比較するとボケが小さいマイクロフォーサーズだが、明る目の単焦点レンズを活用すれば、工夫次第でボケ味を活かした撮影も可能である。SIGMA 19mm は廉価なレンズで明るさも f2.8 と控え目だが、常用レンズとして非常に使い勝手が良い。
浅草から、押上の東京スカイツリーまでウォーキングで。フルサイズ換算 38mm のレンズなので、スカイツリー全景を撮影するには隅田川近辺から。Olympus らしく、空は明るいブルーに表現、白いスカイツリーとのコントラストが美しい。
午後4時にスカイツリーに到着するも、開業から5ヶ月が経過したというのに相変わらずの大混雑。整理券は午後6時半〜7時入場分というので、東京ソラマチを散策して入場時間を待つ事に。しかし多くの人気店舗が入り、プラネタリウムまで有る東京ソラマチを散策していると、あっという間に時間が過ぎる。日が暮れて、5時半にはスカイツリー点灯。漆黒の空をバックに、白/紫の LED に照らされたスカイツリーを撮影。ISO 1600 でも、ノイズが少ない。またもや OM-D の血統を確認。
高さ 350m にある東京スカイツリーの展望台に、高速エレベーター50秒で到着すると、そこに広がったのはまばゆい宝石の様な360度の東京夜景。非常に高い場所なので、東京タワーすら小さく見えて、新宿の高層ビル群がどこに有るのかも目をこらさないとわからない程。しばらくはウットリと眺めるのだが、さてそろそろ撮影に。E-PL5 のフレキシブル液晶は、こういうシーンの撮影に非常に便利。前に人垣がある場合には液晶を下向きにチルトしての見上げながらの撮影。展望台最前列に到着したら、手すりにカメラを固定、液晶を見やすい角度に上向きチルトして撮影。実に具合が良い。東京スカイツリーからの夜景撮影は、露出補正をマイナス一段とすると、街の灯りが滲まず美しく再現される様だ。(より詳細がわかる拡大画像は、こちらからどうぞ)
隅田川沿いの夜景。(より詳細がわかる拡大画像は、こちらからどうぞ。)
真下の東京ソラマチを見下ろす角度での撮影。ISO 1600 の E-PL5 の再現力、SIGMA 19mm レンズの描写力の複合プレーで、超小型システムでも、こんな夜景撮影が出来る。(より詳細がわかる拡大画像は、こちらからどうぞ。)
展望台から降りて、4階の中庭でハロウィンのカボチャライトと、スカイツリーの撮影。スカイツリーを見上げる仰角の撮影は、通常の背面液晶や EVF では困難だが、可動する液晶画面で撮影が容易に。
以上、まずは簡単なファーストレビューだが、E-PL5 の超軽量筐体、170度まで自由な角度に設定出来るフレキシブル背面液晶、OM-D 譲りの画質を短時間でも堪能する事が出来た。Olympus PEN の新世紀がまた、始まった感がある。エントリーカメラと位置づけるだけでは不足な、常時携行用の超軽量高品質デジカメ。子羊の皮の中に夜行性で目が良いオオカミが隠れている様な、そんな E-PL5 なのでありました。
Olympus PEN Lite E-PL5 と SIGMA 19mm f2.8 EX DN の作例写真は、こちらからどうぞ。(より大きめ写真のスライドショーは、こちらから。)
尚、御参考まで、Olympus PEN Lite E-PL5 レンズキット付属の M.Zuiko 14-42mm f3.5-5.6 の作例写真は、こちらからどうぞ。(より大きめ写真のスライドショーは、こちらから。)こちらも決して悪いレンズでは無いけれど、よりキリッとした画像は、単焦点レンズの方が得意、という事がおわかり頂けるでしょう。