明日(3月21日)発売予定だった Nikon COOLPIX A だが、前日の今日、都内では各所で先行発売が実施され、事実上発売解禁となった。アッパー・コンデジ商品ジャンルでは、開発が一歩出遅れた感がある王者 Nikon だが、遂に APS-C の大型 CMOS を積んだ全く新しい COOLPIX を発売。これは迎え撃たねばなるまい、と、予約注文していた中野の某カメラ店へ。しかし悩む、シルバー色にすべきか、黒ボディにするのか。プロカメラマンに言わせると、前に窓や鏡があっても写り込みが少ない黒がデフォルト、となるのだが、シルバーの光沢感も今回の精巧メカ感漂う COOLPIX A には似合っている。店頭でしばし考えたが、マットな黒に落ち着きを感じて、結局そちらを選択。喫茶店で容量の半分程充電をしつつ操作を覚えて、作例写真撮影の準備を。
先日 Nikon のショウルームにてデモ展示品を触ってみた際に気付いたのだが、COOLPIX A の電源オン・オフのフィーリングがまず良い。シャッターボタン周りのレバーを軽く手前に引くだけで、28mm レンズがすっと伸張する。もう一度同じ動作で収納、電源オフ。力を入れて動かすレバーというより、レバーがスイッチになっていてクリック感が必要無く電動モーターが動き出す。スナップ撮影をするには、こういうライトなスタートが出来ると、心理的にもプラスで良いかもしれない。スナップ機として利便性を上げる為に、以前から持っていた COOLPIX 前シリーズ用の 28mm 外付け光学ファインダーを装着。COOLPIX A 純正オプションのファインダーは高価なので、まだ市場に残っている廉価な旧モデルの Nikon 製光学ファインダーは、探す価値があるかもしれない。
大きさこそ COOLPIX 3xx シリーズより一回り大きくちょっと厚めではあるが、手のひらに載せると金属性のひんやり感とズッシリ感。上級 COOLPIX であることを主張する。仕様で見る限りはバッテリーと SD カード込み 299g と 300g を切り、このクラスでは比較的軽い方なのだが、内部メカの凝縮感を体感する事が出来るボディだ。デザインも COOLPIX 3xx シリーズの延長の雰囲気が漂うので、カタログ写真を見るだけでは当初、強い興味を持てなかった本機だが、実物に触れると大きく印象が変わる。
当方の「熊の手」が大きいので、ボディサイズは相対的にもう少し大き目を想像して欲しいが、APS-C の目(CMOS) を持つアッパー・コンデジとしては小型の部類。RICOH GR DIGITAL シリーズの設計思想に近いかもしれないが、単焦点レンズながら収納式として、全体の厚みを抑えている。
手ぶらで出掛けたい時、あるいは携行荷物が多く鞄内の収納スペースが限られる時、COOLPIX A のレンズ収納時の薄さは武器になる。GR DIGITAL シリーズを利用しながら「このカメラに GXR シリーズと同じ APS-C サイズの大型 CMOS が装着されていたらどんなにか素晴らしいだろう」と思う事がしばしばあったが、それをまず先に実現したのは RICOH では無く Nikon だった。RICOH にも是非、ライバル機を開発して頂き度い。
本日は限られた時間しか無かったのでまだ完全には COOLPIX A のポテンシャルを使いこなせていないのだが、しばらく利用して感心するのはアナログ UI 系の使い易さ。Nikonのデジイチユーザーが違和感無く使える事を目指したからなのだろうが、通常の完全フラットな背面ボタンとは違って、各ボタン類が大きく後ろに出っ張っている。これが押し易さ、操作のし易さに貢献する。ダイヤル類のクリック感も、適度に固めで好感が持てる。こういう味付けは、廉価なコンデジでは実現する事は難しく、アッパーコンデジならでは、であろう。
マニュアルフォーカス (MF) の為のレンズ周りにあるフォーカスリングも、絶妙な回転トルク感があり、これならマニュアル操作もしてみよう、という気にさせる。AF-マクロ-MF とフォーカス操作を切り替えるスイッチが左側面下にあって最初は戸惑ったが、これもスライドボタン操作になっていて慣れると使い易い。写真の一枚消去操作は、右下の消去ボタンの二回押しでさっと出来る、というのも、Nikon デジイチ譲りの操作で使い易く、勿論メニュー画面構成やボタン配置も、Nikon デジイチユーザーがすぐ使える様に、出来るだけ同一化が図られている。当方は現在、所有デジイチは Canon だが、以前 Nikon D600 や D7000、そして D300 を使っていた事も有り、すぐに COOLPIX A のユーザーインターフェースに馴染む事が出来た。
取りあえず、COOLPIX A で本日撮影した作例写真は、こちらの flickr set から御覧頂き度い。やや大きめ写真のスライドショーは、こちらからどうぞ。
本日の初撮影の感触では、開放 f2.8 作例写真のシャープネスがやや期待程では無いかな、という感じもあるものの、これは最近 SIGMA 35mm f1.4 の様な、開放でもキレのある高性能レンズを使い慣れてしまった為かもしれず。もう少し絞りを調整して明日以降、更に使い込む予定。以上、操作全般は大変使い易く所有満足感が高い優等生アッパー・コンデジ、というファースト・インプレッションでした。