
常時持ち歩く超小型コンデジが Canon IXY 410F に落ち着いた所で、解決されるべき次の課題は、「常時持ち歩ける超小型デジタル一眼レフカメラ」。デジイチボディだけに注目すると、Sony NEX シリーズ、Panasonic GF2、Olympus E-PL2 あたりの小型化が進み、超小型、軽量デジイチ時代は到来したかに見える。だが早まってはいけない。複数レンズを携行し、撮影シーンにより付け替えてレンズそれぞれの利点を活用してこそのデジイチ。レンズの軽量化、小型化に注目すると、パンケーキ型の小型広角レンズ以外のレンズの大きさ、重さは、常時複数本を携行するにはまだまだ問題が大きい。

当ブログでは何度かその解決可能性を取り上げているが、アナログ一眼レフ全盛時代に、その解決を試みたチャレンジングなメーカーがあった。旭光学、そう、現在の Hoya Pentax である。1979年、今から30年以上前に、110 フィルム規格で、超小型のレンズ、ボディを追求した auto110 シリーズを完成していた。
発売時の価格や、110 フィルム自体の存亡から、現在は中古カメラ屋で珍品的に取引されているニッチなカメラに過ぎないが、auto110 が与えたインパクトは、32 年後の今、中古として残っている製品を見ても衰えていない。ボディだけでなく、レンズそのものも極限まで小型化。絞り等は結果省かれているが、より大きなレンズ同様のレンズデザインが施され、きちんとフォーカシングも出来る auto110 レンズは、21世紀の今触ってみても、凄まじい職人の技が感じられる、高級工芸品である。
噂レベルでは、Pentax はデジタル時代の auto110 を商品開発中という事で、そちらにも大きな期待を寄せているのだが、新たなプラットフォームが発表される前の現在でも、Digital auto110 の夢に近づける組み合わせが登場している。auto110 のオールドレンズを、マイクロフォーサーズカメラに装着する為のアダプターが、発売時されているのである。

海外製で、通販や一部カメラ店でしか手に入らない商品だが、これを手に入れると 110 フィルム入手が難しくなって引き出しの奥に眠りがちだった、auto110 の f2.8 と明るく小さなレンズ群(当方はズームレンズ以外の単焦点、18, 24, 50, 70mm を保有)をマイクロフォーサーズカメラで再活用出来るのである。
当方はアダプターをまず手に入れて、程度の良い m4/3 カメラボディを物色していたのだが、中古 A クラス品(新品同様レベル)で格安の Olympus E-PL1 を発見し、これで auto110 レンズを活用する事とした。本日亀戸天神に出かけて撮影した作例は、こちらの flickr set で御覧下さい。やや大きめ写真のスライドショーは、こちらからどうぞ。

感心したのは、E-PL1 に XZ-1 と共用可能な EVF を取り付けてフォーカシングすると、開放 f値が 2.8 と明るい auto110 レンズは全てピントの山が掴みやすい、という点。マニュアルフォーカスだが、サクサクとスナップ撮影も可能である。画質的には、中古レンズで入手したので個体の問題もあるのかもしれないが、18mm, 70mm レンズの描写が当方は気に入っている。30年以上前に発売されたオールドレンズだが、単焦点ということもあり、カリッとした描写になる。
通常の一眼レフで、f2.8 と大口径に近いレンズを4本も携行すると、かなり重量的に厳しい結果になり、2本程度に減らそうか、あるいは画質を犠牲にはするがズームレンズ1本に抑えるか、という事にアマチュアレベルではなりがちなのだが、auto110 のレンズは4本でも「信じられないほど」超軽量である。そう、これこそが、一般ユーザーが求めるデジイチの未来、なのである。
Auto Focus を内蔵する、といった展開になるとレンズはそれでも多少大型化してしまうかもしれないが、レンズをマニュアルフォーカスにしてでも、超小型軽量を貫いて欲しい、と個人的には思う。Pentax auto110 Digital の登場を待つ気持ちが、m4/3 カメラでこのレンズ群を利用して高まった。Pentax の英断に期待したい。