
1ヶ月前にパシフィコ横浜で開催された最新デジタルカメラの展示会、CP+ で当方が注目したカメラのひとつが、Canon PowerShot G1X。外観は PowerShot G12 をひとまわり大きくしただけに見えたが、中身は大きく進化した。マイクロフォーサーズカメラよりも大きな、1.5 インチ、1500 万画素 CMOS の搭載。レンズこそ交換では無く固定式だが、Canon がそろそろミラーレスカメラを出す前夜の動きではないかと、注目が集まった。当方がこのカメラが気になったもう一つの点は、それだけ大きなサイズの CMOS を導入した割には、レンズが沈胴式で、電源オフにすると通常の m4/3 カメラにパンケーキレンズを装着した程度の全体サイズになること。過去多くのカメラ/ボディの組み合わせを試して来て、当方がパンケーキ的なレンズ形状に固執(そういえば、以前レビューした、Panasonic の 14-42mm 標準 X レンズもこのジャンルに当てはまる)するのは、鞄への収納性の良さが大きい。

撮影を職業とはしていない当方にとって、デジタルカメラは他の荷物とともに通常の鞄に入れて持ち運ぶ、仕事用ツール、スマホ等に次ぐ、言わば「第三の道具」。できるだけかさばらずに鞄に収まって欲しいのだが、大口径ズームレンズ等になるとどうしても大きく、重く、カメラに装着してもフロントヘビーで重心が悪くなる。鞄への収まりは、真ん中が飛び出した凸型になって、最悪。結局入れるのが面倒くさくなってしまい、やがて持ち運ばなくなってしまう。

G1X は、その沈胴メカニズムの固定レンズで、28-112mm相当、f2.8-5.8 という、広角端が明るいレンズを搭載しながら、レンズ収納時のフラット化に成功している。ここが当方の日常カメラとしては重要ポイントなのである。そして G1X の魅力はそれだけに留まらない。撮影で多用する機能は、可能な限りアナログのボタンやダイヤルで操作可能となっている。モードダイヤルに重ねた露出補正+/-専用ダイヤルは非常に便利。更にグリップ部、背面の二つのダイヤルにはカメラメニューからの機能登録、そしてショートカットボタンへの機能登録で、多くの機能をカスタマイズして割り当て可能だ。当方は、Pモード時の前面ダイヤルにはステップズーム、背面ダイヤルには全モード共通でホワイトバランス調整(背面液晶を見ながら赤み/青みをダイヤルで細かく調整可能)、ショートカットボタンに 1.5/1.9 倍ズームのデジタルテレコンを当てているが、非常に便利である。通常のコンデジでは実現しにくい、ユーザー毎のニーズに合わせた細かい操作感調整が、G1X では可能となっている。