iPhone は「ポケットに入る MicroMac」 として重宝しているが、それだけでは言い表せない変化を自分のネット生活に呼び込んだ様に感じていた。ついに Version 1.0 になった iPhone 用日本語 Twitter アプリケーション、「哀 Twitter」を利用していてそうかな、と思ったのは、iPhoneで「Web に指で触る」機会が増えた、という事。Web との触れ合いはこれまで、PC ならマウス、携帯ならボタン、PDA ならスタイラスと、何らかのデバイスを介してのお付き合いだったが、iPhone により、「Web に直接触れる」とでも表現したくなる(実際にはAppleが買収した FingerWorks 社技術によるマルチ・タッチ対応ガラス液晶画面に触れている訳ではあるが)様な、新しいネット体験が生まれたのである。哀 Twitter による日本語変換は、"Web-end Processor" とでも呼ぶべき、Web 上の漢字かな変換を指による操作で可能とした。その他 iPhone 用 Web Application (iPhone Application List に各種有り)操作は、iPhone 用にやや大きめにデザインされたWeb 上のソフト・ボタン群を指タッチを通じて行う事になるし、Safari で Web ブラウズを行っていると、親指と人差し指で読みたい箇所を拡大する事になる。Web だけでなく、email も直接指で触れて操作する事が今や生活の一部になった。
iPhone 革新の大きなポイントはどうもこのあたりの「直接ネットに触れるかの様なユーザー体験」を創造した点にありそうだ。iPhone に続いてアップルは、同様の展開を Mac 世界にも持ち込もうとしているフシがある。さすがに大きなディスプレイを指で直接操作するのは効率が悪いので、マウスの表面をマルチタッチ化する事で実現しようとしている様に思われる。(関連するパテント出願記事が、Engadget に。)
FingerWorks 社を、いったいいくらで買収したのかに付いては Net を検索しても具体的な金額がなかなか出て来ない(同社 Web コンテンツも極めて簡素)のだが、Apple にとって極めて重要な革新的技術と特許を、この会社がもたらした様に見える。ベンチャーと IT 大手企業の、幸せな結婚の良い代表事例となったのではないだろうか。